CASE STUDY

今回のインテリアコーディネーター保田 孝さん(アイ・プランニング代表)

やすだ・たかし 33年間の住宅メーカーのデザイン部門を経て、アイ・プランニングを設立。幅広い知識とキャリア、人脈をもとにゼネコン、家具、建材メーカーなどとタイアップして、インテリアコーディネーターの専門能力を生かした新しいビジネスモデルの構築に従事。インテリアコーディネーターの活躍の場を開拓してきた。

「朝一番に、森の香りのする家」保田邸

築後33年経過した自宅の内装と設備を一新。
LDKワンルームをナチュラル感覚に溢れた空気と光の空間にリフォーム。
壁と天井:ビニールクロスの上にアレスシックイを塗装
床:ウールカーペット
障子:ニ間幅の建具2本、奥に引き込む
照明:すべて白熱灯

「新鮮な空気に満たされたリビングを」

 「この家は33年前、ハウスメーカーがニューファミリー向けに開発した商品の実邸第1号だったんですよ」と保田氏。かねてから将来を見据えてリフォームを考えていた保田氏夫妻が描いていた計画コンセプトは、
1. 健康第一に空気の質に配慮した内装材を採用。
2. ナチュラル素材のインテリアエレメントとソフトな明かりの空間に。
3. ユニバーサルデザインを配慮した安全安心設計。 

特に、空気の質の配慮について保田氏は、「LDKワンルームのプランは当時の一般住宅の間取りとしては斬新で、部屋数志向に代わる新しいスタイルでしたよ。対面式キッチンはとても先進的で、開放感と機能性がその後も定番になりましたよね。でも、LDKがワンルームであることで、料理のにおいは次の日にもLDに残りますから、長年生活しているとそれが我が家の生活臭となっているのではと気になっていました。そこで今回は空気の“質”にこだわったのです」。最近、お孫さんの誕生で、しばらく赤ちゃんとの同居予定もあったことから、「孫がここで過ごすならなおさらだ」と、保田氏は本格的に室内空間の改善に着手します。

「内装材はなるべく自然素材で、生活臭のない空間に」

玄関ホール:壁、天井および多目的玄関収納(右)の内部もビニールクロスの上に「アレスシックイ」を塗装。
 
 

 「空間に漂う生活臭や湿気をいかに取り除くか」と考えたとき、保田氏は改めて伝統的に使われてきた素材である漆喰の持つ機能に着目したといいます。「先人の知恵とは凄いもので、日本家屋の壁に使われていた漆喰には消臭や調湿の効果がありました。しかも漆喰は自然由来の成分。その特徴をそのままに塗料製品化した漆喰塗料『アレスシックイ』は、きっと今回のテーマに合ったものだと確信しました」。保田氏はLDKの壁、天井すべてにアレスシックイを採用。


壁、天井はビニールクロスの上に「アレスシックイ」を塗装。さらに防汚対策として「アレスEZクリーン」を上塗り。

 クロスの上から塗っても消臭、調湿効果が期待できることから、壁紙のテクスチャーをそのまま残し、上塗りすることで既存の壁紙とアレスシックイ双方の特徴を生かしたコーディネートを実現しました。また、保田氏は玄関、階段室やトイレ、洗面などの水回り、さらには靴収納と一体の玄関収納内にもアレスシックイを採用。ほとんどの壁と天井に、消臭、調湿機能を持たせたのです。


多目的玄関収納(1坪):写真の部分は靴類以外に掃除機や傘など収納。他に食品、雑貨収納を併設。内部は「アレスシックイ」を塗装。換気扇も設置して湿気と臭い対策は万全。

 「空気の“質”」をターゲットとした保田氏の創意工夫はさらに続きます。「もともと風通しは良い家でしたので、今回増築のアトリエを含めた連続する空間の風の通り道と採光を見直すことにもこだわりました。二間幅のドレープ&レースのウィンドウトリートメントを幅広の引き込み障子に改めて、漆喰の柔らかい光の反射を空間の表情に生かすことを狙いました。午後に西からの日差しに変わったら、二本の障子を開放してデッキ越しの庭の景観を取り込んだダイナミックな変化を楽しみたいと思っていました。」


勾配(こうばい)吹き抜け天井。
光と空気がまわる快適空間。
壁:無垢の無塗装ヒバ材。
床:電気床暖房対応の無垢ナラ材。
天井:シナベニヤ合板、植物油系塗料拭き取り仕上げ。
赤ちゃん用木製ハンモックは施主のお手製。

 今回のリフォームでは、既存のLDKにアトリエとウッドデッキを増築することも計画されていました。実はここにこそ、保田氏の大きなこだわりがあったといいます。「1階部分に念願のアトリエを増築したいという希望を叶えた訳でもあるのですが、ちょっとこの部屋には仕掛けがありましてね。増築部分に設けた大きな窓から入る風と光はもちろん1階全体の空気を清々しいものにしてくれるのですが、それだけではない。」
お話を聞きながら増築部分に足を運ぶやいなや、まるで森の中に抱かれているような木の香りが。思わず振り返ると、保田氏は微笑んで「ね、リビングが無臭な分、そちらの部屋に行くと木の香りがすごく際立つんですよ。そこは壁に無垢のヒバ材を使っています」とタネを明かしてくださいました。空気の動き、光、そして香りまでをデザインし、空間に深みを持たせた保田氏のアイデア。こうした工夫は保田氏が提案するインテリアコーディネートの醍醐味なのです。


「朝一番に、森林浴をしているような気持ちよさが」

 

 「無いものを実感するのは難しいことですが・・・実は、昨日の夜はにおいが強い料理を作ったんです。全然におわないでしょ?それどころか朝、2階の寝室から降りてくると、とても清々しい空気が部屋いっぱいに広がっているんです。これには妻も驚いていましたよ」。この清々しい空気を生み出すために、採用したアレスシックイも重要な役割を果たしてくれている様子。そもそも消臭や調湿の機能を持つ漆喰は“呼吸する壁”と呼ばれるほど、吸湿と放湿を繰り返す素材。空気中にあるにおいや湿気を吸収・浄化する機能を壁が備えた結果、空気の質を大幅に改善してくれたのだそうです。
「リフォーム後は、冬場の窓周りの結露もなくなりました。その結果、カビの心配も解消し、より清潔な空間に生まれ変わったのではないかと思います。あと、私が期待しているのは、アレスシックイの持つ“抗菌機能”と“揮発性有機化合物(VOC)の吸着除去機能”。冒頭でお話したように、小さな孫がしばらく滞在する場にもなりましたからね。ウイルスやホルムアルデヒドの問題は、今まで以上に考えていかねばなりません。」さらにデザイン面においても「アレスシックイの質感が自然光とマッチして穏やかな空間を演出してくれている」と、満足げな表情。小さな赤ちゃんの寝息とともに、これからも寡黙に呼吸を続けていくアレスシックイを施した壁が、何とも愛おしく感じられました。

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