CASE STUDY

CASE STUDY 005

笠松 瑠奈さん(カラーワールドマーケット)

かさまつ・るな株式会社カラーワールドマーケット代表。前職ではコーディネーターとして施主への提案営業を経験し、祖父の経営していた家具工場がきっかけで、塗装の道を志す。常に塗装の可能性を引き出すことを心がけこれまで多くの物件を手がけてきた。

(株)カラーワールドマーケット
TEL:03-6806-2746 FAX:03-6806-2747 HP:http://cwm-paint.co.jp/

『アクティブな女性達が集う、湘南シェアハウス』

壁面にこだわったフルリノベーション・女性専用サーファーズシェアハウス「ナチュレ片瀬海岸」2階建て物件「ナチュレ片瀬海岸」の1階部共用スペース。入居者のアクティブなライフスタイルを想定して、サーファー仲間と集えるインテリアデザインを実現した。
天井:漆喰塗料(「アレスシックイ」関西ペイント㈱製品)を塗装

『暮らす女性サーファーの気持ちになって、計画を立てていく』

(上)夕日の沈む片瀬海岸。ナチュレ片瀬海岸から海までは徒歩12 分というサーファーには最高のロケーション。(下)サーフボードがモチーフの物件サイン。

 サーファー達にこよなく愛される街、湘南。塗料・塗装による居住空間のクオリティアップを提案する“ペイントスタイリスト”・笠松さんが今回手がけたのは、“女性専用サーファーズシェアハウス”という湘南の地域性に特化した物件でした。日本のサーファー人口は約100万人とも言われ、近年では女性サーファーが増えているのだとか。シェアハウス「ナチュレ片瀬海岸」には、季節を問わずサーフボードを抱えた人達が歩く街にも、そして時代にも合った新たなライフスタイルを提案するというコンセプトがありました。「商店街の中にある古い商店兼住宅のフルリノベーションだったのですが、間取りの配置から外装、インテリアにいたるまで、すべて私に計画を任せて頂きました。“サーフィン”、“女性専用”、“シェアハウス”、どのキーワードをとっても面白いテーマ。塗料という材料を使ってどこまで魅力的なものができるか楽しみでしたね」と、当初の思いを振り返る笠松さん。マーケティングの視点からインテリアのイマジネーションを膨らませていく過程には、とてもやりがいを感じたといいます。


(上)外壁は全面スカイブルーにリフレッシュし、爽やかな外観に。(下)屋外にはサーフボードの洗い場も設置された。

① 居住者のライフスタイルにあわせたデザイン性と機能性の追求
② 外装、内装、インテリアなど各所への適切なコスト配分

 この2点が今回のリノベーションにおけるキーポイントでした。笠松さんはサーフィンをたしなみ、毎日をアクティブに自分らしく生きる女性を思い浮かべて“LIVE”というコンセプトをオーナーに提案。「生き生きとした女性達の集うシェアハウスが完成イメージ。充実した生活を送ってもらうため、彼女達のライフスタイルにふさわしいデザインや機能が何かを計画しました。でも、その前に解決すべきは、既存の建物の改修だったんです。塗料は建物を“守る”という大事な役割も担っていますから、まずはそれを考えて・・・」。かつて営まれていた1階部の商店スペースの床、2階部の居室の壁、そして屋根や外壁にいたるまで、状態は想定よりも劣化が著しかったのだとか。笠松さんは先に屋根の葺き替え、外壁の塗り直しを行い、次に居室の間取りをシェアハウス向けに再構築していきました。「居住者の交流の場となる“共用スペース”の存在がシェアハウスならではの間取り。そこで、1階は道路に面したスペースを、2階はかつての家主が使っていたLDKをそれに充てました。


エイジング技法で“温もり”を感じられる交流空間を演出。

サイズが微妙に異なる杉板をはり合わせ、塗装仕上げにエイジング加工を施すことでより温もりある空間に。外装材にもこだわって、使い込まれたナチュラルなテイストを表現している点はまさに塗装のプロ。

 2階部のシェアハウススペースにはそれぞれインテリアイメージの異なる3部屋と、共用のLDKを配置。「共用スペースは、他人同士でいかに寛げるかが大切。サーフィンや仕事などで疲れた心とカラダを温かく迎えてくれる場所にしたかったんです」。笠松さんは一般的なフローリングやカーペットではなく、床には温かみの感じられる杉の無垢材を選択。また、壁材にも壁紙ではなく杉板を張り、LDKはイエローを採用しました。実はこの壁面こそが、笠松さんが力を注いだポイント。「鮮やかな配色でLDKは見違えるほど明るくなりましたが、それよりもこだわったのは、


(上/下)基調色の異なる3つの個室 のうち、白を基調にアレスシックイを施した部屋。

彼女達がくつろげる"温もり"を演出すること。サーフィンの盛んなアメリカ西海岸の居室スタイルをモチーフに、あえてサイズの違う杉板を一面に張り、エイジング技法で下地に塗ったピンクが見えるよう工夫しました」。仕上げに塗装表面をサンディングで古さを演出するエイジング技法は、笠松さんの最も得意な手法。同じ技法をインテリアの異なる各個室にも施した結果、新築では得られないリノベーション独特の風合いをさらに引き出すことに成功しました。
また、それぞれの個室の要所となる壁面には、「アレスシックイ」を採用。その理由は“におい”にあったといいます。「長年使われてきた生活臭を消して、清々しい空気を作りたいと考え、アレスシックイの消臭機能に着目したんです。施工中も職人さんが『アレスシックイを塗った部屋だけ、まったくにおいがしなくなった』と驚いていましたよ。休憩中はいつもアレスシックイを塗った部屋の前で昼食をとっていたぐらいですから」。漆喰という伝統素材と杉材のエイジング塗装という異色のコラボレーションによって、インテリアは仕上げられていきました。


『女性サーファーにとって理想的な住空間を作りたい』

(上)サーフィン後も、そのまま1階共用スペース「アンテルーム」でゆっくり休憩ができる。(下)“海”をヒントに、共用スペースのパネルカーテンは帆布を利用。夕日を受けた重なり部分のグラデーションが美しい。

 一方で、1階部の共用スペースは居住者がよりアクティブに活用できるデザインと機能が随所に見られます。道路側の広い開口部からフラットに入れる床もまた、エイジング加工が施され、壁にはサーフボードを収納できる棚も装備。また、このスペースの北側の壁と天井にも調湿や消臭の役割を果たすアレスシックイが採用されました。「サーフィンから直接帰ってきて休んでもらうことを考えると、水や汗などで湿度が上がることも想定されます」と笠松さん。アレスシックイが施された天井を見上げると、そこにはプロジェクタが設置されていました。「さまざまな用途でアクティブに使用できるスペースにしたかったんです。たとえばみんなでサーフィンの映画を見たり、夏場は間口を開け放ってバーベキューをしたり・・・」。開口部のパネルカーテンに使った厚手の白い帆布 は、プロジェクタのスクリーンの役割も。その細やかな配慮は、入居者のライフスタイルを追求し続けたからこそ生まれたものだったそうです。


オーナーの比留川さん(左)も「アレスシックイを塗った部屋は空気が清々しい」と効果実感がある様子。




 「インテリアの創意工夫で、まさかこんなにもコンセプトにぴったりのリノベーションができるなんて」。笠松さんに全幅の信頼を置いて発注したオーナー・比留川さんも、完工した今も驚きを隠せません。「イメージを具現化するために、コストをかけてこだわるポイントとそうでないポイントを明確にしたことも成功要因だったと思います。壁面は“こだわるポイント”のひとつでしたから、「アレスシックイ」やエイジング技法など、コストも時間もかかる手法で高い完成度を目指したかったんです」。

 約半年の時間をかけて、築数十年の古い商店兼住宅は、女性専用サーファーズシェアハウス「ナチュレ片瀬海岸」として生まれ変わりました。取材時はまだ完成したばかりで、入居者募集はこれからだと話していたお二人。今までになかったコンセプトのシェアハウスを、どんな女性がどんな風に活用してくれるのか、今後がとても楽しみです。

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