CASE STUDY

CASE STUDY 006

山口 結花里さん

やまぐち・ゆかり長年勤めた一級建築士事務所「まほろ企画室」に在籍中、建築士の資格を取得。その後、住宅メーカーと契約し全国の住宅展示場約80件のインテリア計画や演出コーディネートに従事。1993年からはIC研修業務やインテリアコーディネート実習講師などに活躍の場を広げ、これまで様々なメーカーの展示場やインテリアコーディネートの経験を持つ。

『第二の人生を、“風”とやさしく暮らせる家』(T邸)

第二の人生を、“風”とやさしく暮らせる家(T邸)風の通るさわやかな空間に生まれ変わった。
壁と天井を「アレスシックイ」で塗装。
ソファ、カーテン、照明(LEDランプ)を一新。

『私達とペットが、快適で清潔に暮らせる家を』

 年齢やライフステージの変化はもちろん、ライフスタイルも時代を背景に変化していきます。それに伴って、くらしと住まいの関係も変化していきます。例えば、間取りに対しても、「使わなくなった部屋ができた」「最近、くつろぐ場所が変わった」「寝室を1階に移した」など、部屋の使い方に変化があらわれます。また、設備や収納については機能、性能、容量などのニーズが変わるといった具合に、くらしと間取りやしつらえとの間に不釣合いが生じてきます。

 今回、大阪府箕面市にお住まいの施主様が、たまたま近くに住む山口さんと会う機会があったのが、T邸を担当するきっかけでした。熟年のご夫妻に加えて2匹の猫と1匹の老犬で、豊かな森に囲まれた閑静な住宅街で暮らしてきた“一家”。築後15年も経つと、それぞれの住まい方にも変化が生じてきたのだとか。「猫と犬がリビングや和室へ出入りしないように、扉を閉めきっているために夫婦はほとんどリビングとダイニングで過ごしていて、せっかくリビングに続く座敷や庭があるのに何だか窮屈に暮らしているなって感じるようになって・・・」と、奥様。ただ、当初はインテリアをリフォームするという発想はなく、外観の塗装だけのつもりだったそうです。しかし、山口さんから「この際に老後の生活を見据えて住まいを見直しませんか?」との提案があり、相談することになったそうです。

私達とペットが、快適で清潔に暮らせる家を空間がよみがえり、老犬の「コロナ」もびっくり!

 T邸のリフォームは主にパブリックゾーン、和室を除く1階部分のほとんどです。「リビング・ダイニングもそうですが、キッチンにもモノがずいぶん増えました。それに、ペットがいるものですから、普段はドアを閉めたままなのでどうしても空気がこもってしまって・・・」と、湿気やカビ、臭いが気になっていたそうです。また、この先の高齢期を控えて「住まいも何かしておかないと・・・」という思いもあったようです。そこで、山口さんはリフォームのポイントを次の3点に整理しました。


Point 1. リビング・ダイニングを中心に、家具や収納の見直しで周辺の和室、庭、キッチンをうまく活用できる方法を検討する。

Point 2. 湿気やカビ、においの原因となっている部屋の閉め切りを解消する。

Point 3. 将来の生活を見据えて、ヒートショックの解消、バリアフリー設計を検討する。


『風通しのよい空間に生まれ変わらせたい』

  「この3つのポイントは、それぞれ密接に関わっています。閉め切ってしまうことで、他の部屋の活用は難しくなりますし、風が通らなくてますます空気がこもってしまいます。結果、エアコンに頼らざるを得ない生活を強いられることにもなるでしょう。こうした空気の“悪循環”を、“風”を通すことでまず解決したいと考えました」。

風通しのよい空間に生まれ変わらせたい大阪府箕面市「T邸」1階部
Point 1. の解決策

山口さんは、まず南北と東西の風の通り道をふさいでいる内装建具に着目しました。そこで提案したのが通風ガラリ戸です。「ペットは出入りできなくても風は自由に通る工夫です。まず南北の風の通り道の確保はエントランスからリビングに入る親子扉の子扉です。交換が容易な『旗丁番付きのガラリ戸』を別途用意しました。さらに、東西の風の通り道の確保はリビングと和室の間にある3枚の戸ブスマに一枚のガラリ戸を追加しました。敷居は戸袋付きの3本溝ですからガラリ戸を追加しても写真のようにフスマの引き方を変えるだけで「閉め切り状態」と「通風状態」が簡単に切り替えできます。これでペットの生活圏を保持したまま随時換気ができます。

Point 1. の解決策
閉め切った状態。子扉はガラス仕様、ガラリ引き戸を戸袋部にセットした状態。
Point 1. の解決策
通風状態。ガラリ戸といずれかの襖とを逆にセットした状態。風が出入りする和室の窓を望む。

Point 2. の解決策
Point 2. の解決策ベイウィンドウに接した明るいダイニング。奥様お気に入りの天井際のボーダーと廻り縁はそのまま残した。

 15年という年月が経過し、湿気による壁紙の浮きやカビ、ペットのにおいなど、各所に経年変化が起こっていたT邸。風は、それらを改善してくれる新たな同居人となりました。そしてさらに、山口さんはご夫婦とペット達への強い味方を提案しました。「調湿、消臭効果に優れた漆喰塗料『アレスシックイ』を、壁と天井のクロスの上から塗ることで楽に室内空気の質と美観性の両方を向上させてくれると思ったからです」。加えて『アレスシックイ』の抗菌機能でカビが発生していた洗面所にも有効です。こうした対策で、生活の中心となるリビング・ダイニングが生き生きと生まれ変わりました。


Point 3. の解決策

 T邸においては段差解消や手すりの設置等はすでにクリアされていましたが、リビングやキッチンには様々な家財が増えて露出していました。これらはつまづきや地震時の崩壊などにつながるために思い切ってモノや収納ラック類を処分した上で、造り付けの壁面収納に一変させました。これによって空間は安全でより広く、落ち着いた雰囲気に生まれ変わりました。

 また、ヒートショック対策として断熱性の高い最新のバスルームユニットに交換しました。併せて出窓を二重窓にし、洗面脱衣スペースとバスルームに連動した暖房換気扇を設置して万全を期しました。庭には部屋との段差が無い広いデッキとサンルームを増設して、安全な物干しや快適な屋外スペースが生れました。

Point 3. の解決策
(左)間口3,600m/mの壁面収納で、キッチンはすっきりと生まれ変わった。(別注品)

(右)バスルームの既存の出窓の内側に建具を追加して断熱性をアップ。(サッシ・建具:プラスチック製)


『インテリアコーディネーターに相談して良かった」』

第二の人生を、“風”とやさしく暮らせる家(T邸)リビングの造り付け収納棚(別注品)。インテリアの演出という新しい楽しみが増えた。

 「リフォームを終えてからまだ間もありませんが、この部屋の空気が変わったことにはとても驚いています」と奥様。リビング・ダイニングでお話を聞いていた取材中も、東から西へとそよかぜが通り抜け、気になっていたという湿気やペットのにおいも全く感じられませんでした。「エアコンに頼らない暮らしをしたいね、って、よく主人と話していたんです。これからこの家で暮らしていくのが、改めて楽しみ」と語るとともに、「今回は大きな改装にふくらんでしまいましたが、山口さんと相談できてよかったと思います。『このダイニングの吊り戸棚に調度品を置いたらインテリアのポイントとしても活用できるな』とか、思わぬインテリアの演出の楽しみが増えましたよ」。塗装をすることで壁紙にはない下地との一体感が生まれ、独特の風合いのある真新しい壁に囲まれた室内を見上げて楽しげに話をしてくれた奥様。ペット達が“癒し”をご夫婦に与えるなら、“風”という新たな同居人は、ご夫婦に“やさしい暮らし”をもたらしてくれたようですーーー。

施工:パレットホーム株式会社(大阪府茨木市)

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