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カラー フォー ユア ライフ (Color for Your Life)
第1回 - 子供たちが好む色

完成した学校

 『子供たちが好む色』をテーマにコラムを書いてきましたが、今回がこのテーマ最後のコラムになります。子供たちのアンケート評価を元にいよいよ学校の色彩計画を行なったお話です。

 前回のコラムでご紹介したアンケート評価にあるように、子供たちは「変化のある楽しい色彩空間=バラエティ配色」が学校にふさわしいと考えています。それを踏まえて子供たちが日常よく使う「教室」「昇降口」「廊下」そして「階段」を中心に色彩計画を行ないました。

 まず「教室」ですが、新たに色を塗り替える箇所は天井・壁・柱型・ドアです。その他、床は木が貼られ、付属設備としてロッカーや掲示物を貼る壁、黒板、机、椅子などがあります。塗替えの場合大切なのは、塗替えないものとの調和です。調和を考えながら、子供たちがふさわしいと考えた「バラエティ配色」にする必要があります。
そこで、アクセントカラーを使うことにしました。壁の色をクリーム色、柱型と天井の梁に水色をアクセントに入れました。この水色は実は子供たちが大好きな色なのです。アンケート評価をとった際に嗜好色調査も行なったのですが、男女共に1位に選んだ色です。寒色系には心を落ち着かせる効果もありますのでアクセントカラーには最適だと考えました。

 教室に色を何色も使うのをあまり見られたことは無いと思いますが、教室は子供たちの服、ランドセル、本、掲示物などたくさんの色であふれています。主に目線の下の部分にたくさんの色がありますが、それらの色と空間をつなぐ色としてアクセントカラーを活用します。入れる位置や色を効果的に使うことでまとまりのある空間になるのです。

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after/バラエティ
after/バラエティ

 次に「昇降口」ですが、子供は「バラエティ配色」がふさわしいと考え、先生は落ち着きと清潔感のある「ユニティ配色」がふさわしいと考えていました。しかし、昇降口は子供たちが学校生活の1日の始まりと終わりに使う場所ですので、主な利用者である子供たちの意見を尊重することにしました。

 昇降口の壁には、もともと子供たちによって黄色い象の絵が描かれていたので、象の絵を目立たせるために絵の周辺の腰壁には水色が最適です。黄色と水色は補色の関係ですので、とても効果的に象の絵を目立たせることができます。そして柱には象と同じ黄色をアクセントにしてつながりをもたせ、下足部分の床は鮮やかなブルーグリーンで塗装し直しました。靴入れも新たに白くなり、とても生き生きとした空間になったと思います。

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after/子供用昇降口(バラエティ)

after/子供用昇降口(バラエティ)

after/大人用昇降口(ユニティ)

after/大人用昇降口(ユニティ)

 「廊下」も子供たちと先生のアンケート評価結果が異なった場所です。そこで子供たちが主に使う2階から3階の廊下は「バラエティ配色」にして、先生や来客が主に使う1階の廊下は「ユニティ配色」にしました。空間の中にメリハリをつけることで、子供たちは1階の廊下では静かにしないといけないという意識が生まれたようです。

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after/子供用廊下(バラエティ)

after/子供用廊下(バラエティ)

after/職員室前廊下(ユニティ)

after/職員室前廊下(ユニティ)

 最後に「階段」ですが、塗装がはがれ薄暗く冷たい雰囲気でしたので、移動空間としての安全性と汚れにくさに配慮した色彩計画を行ないました。少ない照度の照明でも暗くならないように鮮やかなビビット色をアクセントに使っています。東側と西側に階段が1つずつあるのですが、東側階段には午前中の光に映えるブルーを、西側階段には午後の光に映えるイエローを配色しました。

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after/東階段(バラエティ)

after/東階段(バラエティ)

after/西階段(バラエティ)

after/西階段(バラエティ)

 校舎の改修後、塗替えによる色彩の変化にも慣れたと思われる半年後に再度同じ子供たちに話を聞きに行きました。当初5年生だった子供たちも6年生になっていました。
いろいろな話を聞くことができましたが、特に気になった内容を紹介します。

○校舎の色や使い心地は?:子供たち・・・教室の水色がすごく好きだ。/学校がきれいな色になってうれしい。○内装色の変化による心理的な変化は?:子供たち・・・昇降口に入った時、「さあ、やるぞっ」という気持ちになる。/汚れたら気になるようになった。/妹や弟がこの教室を使うまで大切に使い、きれいな状態を保っていたい。/先生たち・・・心なしか授業中、生徒に落ち着きが見られるようになった/生徒が校舎を汚さないように気配りするようになった。

 実は改修前、最初にこの学校を訪れたとき、教室や廊下には紙くずやティッシュなどのゴミが所々に落ちていました。もちろん掃除の時間にはきれいにするのですけれど…。ところが改修後に訪れたときは、掃除前でしたがゴミは1つも落ちていませんでした。子供たちからの話にもあったように、「汚れたら気になる」「きれいな状態を保っていたい」という気持ちが行動に表れたからでしょう。

 子供は自分が置かれている環境に影響を受けやすく、子供たちがふさわしいと感じる色彩や空間にすることで、心理面に良い影響を与えることを強く実感しました。

after/音楽室(ソフト)

after/音楽室(ソフト)
音楽室はエレガントで落ち着いた雰囲気に

after/工作室(ハード)

after/工作室(ハード)
木のイメージでグリーンをアクセントに

 平塚市では毎年夏休みに子供たちや保護者、そして当社社員がボランティアで校舎内の壁を塗る取組みをしています。
自分たちが使う学校を自分たちの手できれいにして、気持ちよく生活することはとても素晴らしいですよね。

 最後にエピソードを1つ紹介します。
子供たちにアンケートを取るために、何度か打合せで学校を訪れていたのですが、1人の男の子が校舎の写真を撮っている私に近づき「何をしているの?」と声をかけてきました。その男の子は入学したばかりの1年生でまだ学校に慣れておらず、少し寂しい様子です。私は「学校を今よりもっときれいにするために、どんな色がいいか調べているのよ」と答えました。その男の子は「きれいにするの? 色を塗るの?」と、顔がぱぁっと明るくなったのです。

 子供たちが学校生活を楽しく送れるように「色」の力を最大限に生かした色彩計画を考えなくては、とその男の子の笑顔を見て強く思いました。

 次回からは新しいテーマでお送りしますので、楽しみにしていてください。

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