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カラー フォー ユア ライフ (Color for Your Life)
第2回 - 海外の建物

スイス医療施設 その3 インテリア編

 さてお待ちかねのインテリアを紹介します。今回は、前回と同じくワイド国立病院のインテリア編です。

 まずは、医師や事務員など病院スタッフの事務所です。
どの部屋にもアクセントカラーが塗られていました。無機質なロッカー、デスクや書棚、積まれた書類やファイルなども、背景の壁に色が入ることでまとまりのある空間になっています。もし壁の色が白だったら、もっと部屋が雑然としているように見えると思いませんか?

ワイド国立病院

ワイド国立病院

 色には「もの」と「もの」、「人」と「もの」をつなぐ役割があることは皆さんご存知だと思います。家具や雑貨のコーディネートでもキーカラーを設定して空間をつなげる方法がありますよね。さらに大きな壁面の色になると空間全体をまとめる力が生まれます。
不思議とどんなに派手な色でも、塗ってしまうとしっくりくるのがインテリア空間での壁の色。インテリア空間では物の後ろに壁がある場合が多いのと、囲まれたスペースのため1つの空間として完結している点が、外壁とインテリア空間の色の印象が違って見える理由でしょうか。

病院スタッフの事務所
病院スタッフの事務所

 海外の建物は内外装ともペイント壁が主流で、特に病院はペイントが多く使われています。なぜだか分かりますか?
それは清掃やメンテナンスのしやすさからです。「えっ? ペイント壁がなぜ?」と思われた方もいらっしゃると思いますが、ペイントには様々な機能があり、耐薬品性に強いものや汚れが付きにくいもの、付いてしまった汚れを落としやすいもの・・・など様々です。特に病院の場合は耐薬品性や抗菌性に優れたペイントが求められます。関西ペイントにも抗菌作用のある銀を活用したアレスシルバー工法という院内感染対策用のペイントがありますが、病院や高齢者施設だけでなくレストラン、学校、幼稚園などでも使われています。

カラフルな掃除道具一式

カラフルな掃除道具一式

 話を戻しまして、スイスの病院では清掃スタッフが床だけでなく壁も水拭きしていました。日本では床の掃除はしますが壁まで拭くことはあまり聞かないですよね? スイスでは日常の清掃だそうです。そして気軽に塗り替えることができるということで、ペイントが使われています。ペイントスタッフが常駐している病院もたくさんありました。

 次に病室ですが、日本では白っぽい壁が多いのですが、この病院は(写真だと分かりにくいかもしれませんが)たまごの黄みのような黄色とアイボリーのツートーン配色でした。床やカーテンはレンガ色のような温かみのある赤が使われています。一方、イスやベッドのファブリックはブルー系が使われていました。全体のトーンを調和させて色相を対比させるカラーコーディネートになります。まとまりの中に変化のあるこのカラーコーディネートは、地味になり過ぎず明るい気持ちになるようにしたい、病室のような空間に適した手法の1つです。
また、廊下の床はオレンジ色で、部屋と床の色を変えてコントラストを付けることで場所を明確に分ける視覚効果が用いられていました。

病室と廊下
病室と廊下

 廊下にはちょうど手すりの部分にアクセントカラーが使われています。廊下もペイント仕上げですが、近くで見ると弾性のある柔らかな触感のペイント材が使われています。これは触ったときに冷たくない、けがをしないという効果もあるのです。適材適所でペイントの材質を使い分けているのが素晴らしいと思いました。

病棟廊下

病棟廊下

やわらかい質感のペイント

やわらかい質感のペイント

 そしてサインですが、色を効果的に用いて空間を分割する方法がとられています。病院の入り口には配置図があり、ブロックごとに色で識別されています。日本でもよくある手法ですね。日本と異なるのは、床がシンプルということでしょうか。日本の病院には床にも行先表示をしているところやラインなど、アクセントを入れることが多いですよね。実は高齢者の方々にとって床のラインや模様などは分かりやすいサインの反面、コントラストが強すぎるとそれが段差に見えて歩き辛いことがあるそうです。スイスの病院の床はほぼ1色のシンプルなデザインでした。その代り壁にサインがたくさん表示してありました。

サイン
サイン

 廊下全体はとてもシンプルで壁にアートや写真が飾られていて、所どころにイスが置いてあります。エレベーターの中や階段の踊り場にもイスが置いてありましたよ。これはとてもホスピタリティですよね。

椅子がところどころに置いてある
椅子がところどころに置いてある

 そして自立した生活が送れるためのリハビリ施設を最後に紹介します。

 中に入ると、誰かのご自宅に上がったかのような感覚になる普通の家のインテリア空間でした。庭に面したリビングやキッチンとダイニング。普通の生活空間がそこにありました。病院の施設にいることを忘れてしまうようでした。

リハビリ施設

リハビリ施設

リビングとダイニング

リビングとダイニング

洗濯室のサイン

洗濯室のサイン

 このように自宅で生活することを意識したリハビリ空間が用意されていることで、退院してからの実際の生活をシミュレーションできたり、何か問題があったらそれに対して解決策を考えてくれるため、退院してからも安心して生活を送ることができるのです。本当に素晴らしいですね。

病室のベッドには自力で起き上がるための補助がついている

病室のベッドには
自力で起き上がるための補助がついている

 スイス国立病院のインテリアを紹介しましたが、いかがでしたか?
私自身は最初に視察をした病院だったので、「国立病院なのにこんなに色が使われている!」と興奮したのですが、その後に別の私立病院や老人ホームを視察し、改めて見ると「ベーシックでシンプルなインテリアで国立病院らしい」(私の中での国立病院のイメージです)とイメージが変わりました。なぜイメージが変わったか……それは次回にお話ししたいと思います。

 次回は、チューリッヒにあるナーシングホーム(老人ホーム)についてです。日本でも高齢化による需要を見込んで増えている老人ホーム。スイスの老人ホームはどんな空間で、入居者の方はどのような生活を送られているのかを書きます。お楽しみに!

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