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カラー フォー ユア ライフ (Color for Your Life)
第2回 - 海外の建物

スイス医療施設 その7 ジュネーブ大学付属病院 Hospital de Geriatrie(老年科専門病院)

 今回ご紹介するのは、ジュネーブの中心地から約6km離れた場所に位置するジュネーブ大学付属老年科専門の病院です。広大な敷地の中には建物より背の高い樹木が立ち並んでいました。

病院のサインと外観
病院のサインと外観

 病院の建物に入ると、赤紫系のカーペットの床と受付カウンターの間接照明によるやわらかい光が、優しくエレガントな雰囲気を醸し出していました。病院の受付とは思えないような雰囲気だと思いませんか? この病院は入ってすぐに受付があるのですが、その向かい側にはショッピングモールのように様々な店舗がありました。

エントランス入ってすぐの受付カウンター

エントランス入ってすぐの受付カウンター

ショッピングモールのような店舗

ショッピングモールのような店舗

 店舗にはショーウインドーがあり、きれいに商品がディスプレイされていて通路を歩いているだけでも楽しめました。ここでも間接照明を効果的に使っていて、無駄に明るすぎない優しい光環境に感心するばかりです。店舗の中には美容院もあり、雰囲気は街なかにあるお洒落な美容院のようです。お客さんも数人入っていて、パーマをかけている人もいました。
 そういえば、すれ違う患者さんが皆お洒落だな…と思っていたのですが、病院のスタッフから説明を聞いて納得しました。この病院には≪毎朝、服に着替えて寝巻のままでは過ごさない≫という入所者全員のルールがあり、寝たきりにしない、身だしなみを整えるというスローガンの下、高齢者のQOL(生活の質の向上)を高めることを目標としているそうです。

店舗エリアのショーウインドー

店舗エリアのショーウインドー

店舗エリアの美容院

店舗エリアの美容院

 同じフロアーに食堂もあり、注文スペースのインテリアには心理的に食欲を増進させると言われているオレンジ色が使われていました。奥へ進むと天井がドーム状になった広い食事スペースがあり、ドクターやスタッフ、患者さんや家族、友人などが同じスペースで食事をしていました。観葉植物もパーテーション代わりにたくさん置いてあり、とてもリラックスした雰囲気で食事ができるようになっています。
 食堂の横にはテラスがあり、鮮やかな黄色いイスが置かれていました。普段仕事で高齢者向け建物の色彩設計を行う際に、ついついオーソドックスで落ち着いた色を選びがちでしたが、食堂などのパブリックスペースには楽しい色を使うのもいいなと思いました。そしてここでも機能性だけでなく、デザイン性にも富んだ照明計画に感激しました。

食堂の注文カウンター

食堂の注文カウンター

食事スペース

食事スペース

ドーム型天井の広々した空間(食事スペース)

ドーム型天井の広々した空間(食事スペース)

テラスにある鮮やかな黄色いイス

テラスにある鮮やかな黄色いイス

 これまでご紹介した病院や老人ホーム、そしてこの病院を視察して気付いたことがありました。それは照明が床ではなく壁を照らすように設置されていることです。日本の病院ではおそらく暗いと思われる明るさかもしれません。しかし高齢者の中には目が弱っている方も多く、明るすぎる照明は逆に目を傷めてしまう可能性があります。そのため、歩行するには問題のない安全性が確保された明るさにしているのかなと思いました。壁を照らすことで壁に反射して、少ない照明で空間を明るく見せる効果もあります。

病棟廊下の照明
病棟廊下の照明

 一方、ドクターやスタッフだけが使う廊下は蛍光灯がたくさん天井に設置され、隅々まで明るい環境でした。
 このように「その場所を最も使う人の特性を考慮する」ことがとても大切であることを実感したのです。

管理事務棟廊下の照明

管理事務棟廊下の照明

 そしてもう一つ気が付いたことは、廊下の床がとてもシンプルということです。床にアクセント模様を付けている事例はほとんどなく、色を変えている程度です。
 以前私たちは高齢者施設でインテリアの色彩設計を行った際に、入居してから半年後の27名の入居者にアンケート調査を行いました。車いすの方や寝たきりの方など、様々な入居者に調査を行うことができたのですが、今後の色彩設計に役立つ情報を得ることができました。

 次回はアンケート調査の結果と、引き続きジュネーブ大学付属病院Hospital de Geriatrieのリハビリ施設や検査室のインテリアについて書きたいと思います。お楽しみに。

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