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カラー フォー ユア ライフ (Color for Your Life)
第3回 - 国内の建物

日本の高齢者施設 その2 サクラビア成城(東京都世田谷区)

 今回も前回同様、高齢者用集合住宅・介護付き有料老人ホーム「サクラビア成城」についてです。入居者がどのような生活を送っているか書きたいと思います。充実したアクティビティや手厚いホスピタリティに守られた生活、洗練されたインテリア空間など、ため息がでるものばかりでした。

<共用スペース>

 施設内の共有スペースには様々なアクティビティスペースがあります。電気釜のある陶芸教室や社交ダンス教室、コーラス教室を開催する多目的ホール、ビリヤード場、囲碁・麻雀用プレールーム、ライブラリー、アトリエ、スポーツジムなど。入口に予約表が貼ってあるのですが、たくさんの予約が入っていましたよ。実際に見学していたときにもビリヤードを楽しむ方々や、ホーム内での展覧会に向けて作品の製作に精を出している方もおられ、皆さん本当に楽しんでいらっしゃいました。さらに本格的な映画鑑賞ができるシアターもあり、ここでは映画の他に入居者が撮影した旅の記録上映会なども行っているそうです。
 また、理容室と美容院もあり、美容院は一流ホテルに入っている「遠藤波津子美容室」でした。ビリヤードなどアクティビティの指導者は元オリンピック選手など超一流の面々をそろえているそうです。楽しんで取り組むだけではなく、しっかりとした指導やサービスも受けられるという、ハイレベルなおもてなしの提供に感心しました。

 サクラビア成城は閑静な高級住宅街に位置しており、その外構は石の塀や建物の5~6階に届く樹木に囲まれています。まるで美術館や博物館のような雰囲気で、歴史が感じられました。

アトリエと飾られている入居者の作品
アトリエと飾られている入居者の作品

麻雀ルーム

麻雀ルーム

シアター

シアター

ライブラリー

ライブラリー

スポーツジム

スポーツジム

 共有スペースには、まるでヨーロッパの貴族が音楽会を開くようなサロンや、結婚式ができそうな見事なシャンデリアのホールもあります。さらに和室もあり、まるで日本旅館のような落ち着いた雰囲気と音楽が流れていて、とても気持ちが落ち着きました。ここでは本格的な水屋もあり、お茶会も開催できるとのことです。

サロン
サロン

ホール

ホール

和室

和室

 最上階の10階にはスカイラウンジがあり、キッチンが併設されているためシェフを呼んでパーティーなどができるスペースになっています。周辺に高い建物がないため、そこから見る景色は素晴らしいものでした。富士山や伊豆半島の山々、浅間山、日光の男体山まで180度素晴らしい景色が広がっています。夏には多摩川の花火大会のほか、調布市の花火大会も見られるそうです。居ながらにして二つの花火大会が見られるなんて、うらやましいですね。

スカイラウンジ入口

スカイラウンジ入口

スカイラウンジ

スカイラウンジ

 建物のエレベーター内やエレベーターホール、通路には休憩用のイスが置いてありました。日本では高級ホテルなどでたまに見かけることができますが、スイスの病院や老人ホームではよく見られた光景です。このような細やかな配慮を所どころで感じることができました。

エレベーターホール

エレベーターホール

<アクティビティ>

 アクティビティにはお出かけツアーも多数企画され、スカイツリー見学や帝国ホテルのディナーを楽しむグルメツアーなど、魅力的な内容が満載でした。入居されてから要介護になられる方もいらっしゃいますが、部屋にこもりがちな方には声かけをして、なるべく部屋の外に連れ出し、気持ちが元気になるように心がけているそうです。また、要介護の方だけのアクティビティーツアーも企画しているそうです。

 こうした心のこもったホスピタリティに感動したのですが、気になる質問をしてみました。それは「入居されてから認知症を発症する人はどのくらいいらっしゃるのか?」という質問です。答えは、かなり少ないとのこと。軽い認知症や鬱症状になっても声かけをして症状が進行しないように気を付けているそうです。
 また要介護になった場合、一般的な介護施設では、これまで住んでいた居室から介護専用居室に移るケースが多いのですが、こちらは入居してから介護が必要になった場合でも、居室を維持したまま介護サービスを利用できます。できる限り自立を促す介護方針を基本としているので、尊厳を大切にきめ細やかなサービスを提供し、また自分の居室に戻り自立した生活を送れるように導いていくそうです。
 そのためリハビリ施設も充実していていました。しかも、介護スタッフの数は、国の最低基準である「介護を受けられる方3人に対し、スタッフ1人」を上回る「介護を受けられる方1.5人に対し、スタッフ1人以上」。手厚い介護体制をとっているからこそこうしたサービスが可能なのです。以前スイス医療施設のコラムで書きましたが、まさに自助努力のシステムがサクラビア成城にも構築されていました。

 施設内にはクリニックもあり、24時間365日医師常駐体制のため、緊急時には医師と看護師が居室まで往診してくれます。安心のシステムですね。診療は内科、消化器内科、眼科、心療内科、整形外科、循環器科、皮膚科、さらに人間ドックでレントゲンの設備もありました。東京女子医大と提携し、各専門医が日替わりで見てくださるそうです。なお、このクリニックは入居者以外の一般の方も利用できます。

サクラビアクリニック
サクラビアクリニック

 サクラビア成城に入居されている方の年齢は62才~106才です。セカンドハウスという位置づけで将来のために確保している方もいらっしゃるそうです。100才以上の方も大変お元気で、90才近くになってから始めた陶芸の作品を見せていただきましたが、とても繊細なお茶碗や葉っぱの形をした平皿など、素敵な作品でした。
 施設のアクティビティとは別に、個人で自由に外出もできますので皆さんショッピングや外食、犬の散歩などを楽しんでいるようです。
 セキュリティ会社のセコムと共同運営なので、日中や夜間の防犯対策も万全というのも安心できますね。

106歳の方の作品

106歳の方の作品

<居室>

 エレベーターで共有スペースから居室スペースに向かうと、これまでと雰囲気が異なります。置いてある家具や額装の絵はヨーロピアンエレガントなもので統一され、壁や床は穏やかなベージュを基調とした落ち着いた雰囲気のインテリアでまとめられていました。
 建物内の通路はほとんどがカーペット敷きでした。足にもやさしく、車いすの音も響かないという効果があります。汚れやすいことや清掃しにくいなどの点から、一般的なマンションや老人ホームでは、清掃しやすいビニール床シートなどが使われることが多いと思います。しかし、ここでは入居者への配慮に重点を置いていました。カーペットは淡い色でしたが汚れはなく、清掃が行き届いていることが伺えましたよ。

 居室は、約60m²~140m²と様々な広さが用意されています。家族向けのマンションと同じくらいの広さですが、広い部屋から埋まっていくとのことです。今回は60m²のモデルルームを見せていただきました。キッチン、リビング、寝室、バスルーム、洗面所からなっています。
 玄関を入ると、正面突き当りにバルコニーへ続く大きな掃出し窓と、大きなコーナー窓が目に飛び込んできました。全ての部屋が南向きですから、とても明るく開放的な雰囲気です。太陽光を部屋に取り入れるのは認知症抑制や健康にも良いと言われていますよね。

居室のリビング

居室のリビング

居室のダイニング

居室のダイニング

 天井はモールディングが施され、エレガントでヨーロピアンな雰囲気です。床は優しい雰囲気の薄いピンクのカーペット敷き。一方、キッチンはミディアムブラウンの建具で、キッチンカウンターは白の人造大理石、床はフローリング調のビニール床シートが使われていました。ダイニングやリビング、寝室はモデルルームのため家具が配置されていましたが、入居する際、家具は自分が使っていた慣れ親しんだものを持ち込めます。浴室の壁はトラバーチン模様のパネルで明るく高級感のある雰囲気でした。
 居室はペット可なので、犬を散歩させている方も見かけました。

居室のキッチン

居室のキッチン

居室のバスルーム

居室のバスルーム

<臭いの悩み>

 いろいろ伺っていると良いお話ばかりでしたが、一つだけ悩みをお持ちでした。ニオイ対策にとても気を使われていて、改修の際に光触媒や消臭機能付きクロスを採用したこともあるそうです。でもあまり効果を実感できずにいたとか。多くの人が同じ空間で生活していればどうしても様々な臭いが発生します。施設内には空気清浄器も置かれ、清掃スタッフによる清掃も行き届いていましたが、それでもニオイに対する悩みはつきないようです。
 ニオイの粒子は壁や天井、床やソファーなどの家具に付着します。スイスの医療施設では、医療施設コラムで話したと思いますが、薬品の臭いや生活臭などを感じさせないことも大事なホスピタリティの一つとされ、壁も拭き掃除をします。しかし、壁の拭き掃除は大変な労力が必要ですよね。
 そこで、弊社の漆喰塗料「アレスシックイ」をご紹介させていただきました。アレスシックイは塗料とありますが、本漆喰と同等の成分です。塗料と名乗っているのはペイントローラーや刷毛で塗装できるように改良したからです。消臭機能に優れていて化学性物質を含まないことや、抗菌力にすぐれており塗装後30分以内に効果が現れ、さらにカビの発生を抑制するなど、このような施設には本当に適した内装材なのです。絵画作品の保管にも調湿効果が有効だということで、大きな美術館にも採用されています。

 さて、今回サクラビア成城を見学させていただき、ホスピタリティの素晴らしさに本当に感心した次第です。見学前は入所金の1億円がとても高いと感じましたが、見学後は納得できると感じました。入居してからの物理的、精神的な安心感、認知症の予防対策、アクティビティの充実、食事メニューの豊富さ、周辺環境や立地条件の良さなど、全てが約束されているのですから。特に認知症や自立を促す取組みは、人間としての尊厳を一番に考えている福祉大国スイスのホスピタリティと同等です。このような施設が国内でしかも26年前からあるとは驚きでした。

 案内の最後にスタッフの方が話をしてくださいました。サクラビア成城にはセレモニーホールがあり、最期を迎えた時、家族や友人、スタッフに見送られて旅立つことができるそうです。スタッフの多くと永く信頼関係を築けるからこそのお見送りになりそうですね。 このような施設で一番重要なのは、ホスピタリティやアクティビティを含めたサービスの提供だと思います。さらに、施設の付加価値を高めるのがインテリア空間です。家具やファブリックはもちろん、それらを引き立てる壁の材質や質感、色彩もとても重要です。 今後もPXIを通じて、美観性はもちろん機能性にも配慮した魅力的な内装材を会員の皆さまにご紹介していきたいと思います。

 最後に、お忙しい中、私たちのために時間を割いていただいたサクラビア成城の皆さまに感謝いたします。

※内容に関して問合せや感想などありましたら、PXIサイト「お問合せ」をご利用ください。

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