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ペイント・ルネサンス(Paint Renaissance) 

漆喰空間の魅力-1

 漆喰で内装された空間の魅力は、見た目のデザイン性だけではなく、室内環境をより安全で快適に変化させる機能性をも有します。しかも、自然由来の安全な組成であることと、古くから人々の生活に馴染んできた建築材料ですから、健康不安が無いことも魅力の一つです。一言で言うならば、漆喰仕上げは「癒しの空間」づくりの原点とも言えるでしょう。そこで、今回のペイント・ルネサンスからは漆喰のデザイン性と機能性両面でその魅力に迫ってみたいと思います。

漆喰は継ぎ目なく下地の複雑な形状を活かしながら、しかも表面を一様に仕上げることができる。空間の形態を魅せながらもインテリアエレメントの存在感の邪魔をしない。
漆喰の白は、空間の“引き立て役”

 まずは、漆喰のデザイン性について。漆喰には顔料を混ぜて着色したものや、上塗り用の「色漆喰」もありますが、ここでは本来の「白」を基本に話を進めます。漆喰の白さの特徴は、空間を構成する他のエレメントとの“コントラスト”を活かした空間表現ができることでしょう。漆喰の白は、決してそのものが主張をせず、自然由来の素材感が合わさりニュートラルな存在となって他のエレメントのデリケートな表情をより鮮明に引き立てます。例えば建物の柱や梁などの構造体が持つ素材感に対して、漆喰の白は色彩のコントラストと質感のコントラストの両面で互いを引き立て合い、ダイナミックで力強い空間イメージを作り上げます。これは日本の伝統建築のみならず、イギリスの伝統的なレンガ造り様式であるハーフティンバー構造にも同様のことがあげられます。また造作や建具、テキスタイルなどではインテリアエレメントの繊細な質感や色彩を損なうことなく、空間に調和させるキャンバスのような効果が得られるのです。

日本家屋で見られる典型的な漆喰と梁・柱とのコントラスト。色合いもさることながら質感もダイナミックに互いを引き立て合っている。
自然と共鳴し合い、空間の質を高める。

 漆喰の白が引き立てるのは何も色彩ばかりではありません。光を乱反射する漆喰の表面性状は、独特の高級感としっとりとした上品さが他の素材の表情を柔らかく引き立て、空間そのものの品位をも高めます。したがって、刻々変化する窓からの採光がもたらす空間表情は、外部の樹木や構築物の色彩や影をも柔らかく反映して季節感も採り込みます。昼間のこれら外部環境の表情とともに、そして黄昏時以降は、室内の灯りが放つ光のぬくもりをも一段と高めてくれるのです。こうした漆喰の性質は、自然材料ならではな特性と言えるでしょう。どんな精巧な印刷や表面加工をされた壁紙も敵いません。漆喰仕上げはただ表面を覆い隠すだけではなく、下地材料と一体となってもたされる視覚効果が表情に深みを与えます。自然の表情は、自然材料にこそ最も素直に映るのでしょう。

窓からの自然光の明りがブラケット照明の灯りへとデリケートな光の変化を見せている。漆喰仕上げならではの上品な壁面の表情。

 漆喰は視覚ばかりではなく五感を使って身体で総合的に感じ取る材料と言えます。例えば、漆喰の触感は一般的に使用されているビニール系壁装材のように手のひらの体温や汗をダイレクトに反射するような感触がなく、温度や湿り気を互いに交換し合います。また、化学製品特有の臭いもありませんから、人工的な度合いの高い加工材料とは一線を画した性状を持つ優れモノです。そのデリケートなニュアンスはなかなか言葉で表現しにくいところですが、少なくともインテリア計画に携わるプロとしては、いろいろな機会に漆喰のさまざまな表情を体感することで、新たな感性を磨いていくことが必要でしょう。

(#003 「漆喰空間の魅力-2」へつづく。)

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