COLUMN

COLUMN

ペイント・ルネサンス(Paint Renaissance) 

漆喰塗料のチカラ-2

風に便乗する“悪者”

 風はさまざまな情報やモノを運んでくれるばかりか、濡れたり湿ったものを乾燥させたり、ものを動かすクリーンな原動力にもなって、人々の暮らしに生気を与えてくれます。その一方で、風が不要な物質や病原菌を運ぶことで、さまざまな問題が浮上してきています。それは杉花粉や黄砂、pm2.5などの健康被害をもたらす物質や、それらに付着した有害な物質をも運びます。人間は風がもたらすこの良い影響と悪い影響との二面性を理解して、今後も上手に共存していかなくてはなりません。

 さて、今年も肺炎による死亡者数が増加の一途です。特に高齢者や幼児の罹患率が高く対策が急がれています。感染経路のひとつである空気は、容赦なく身に降りかかってくるだけに接触感染よりも防御は更に困難です。そこで今回はその対策として「漆喰塗料のチカラ」の2回目としてアレスシックイの持つ「抗菌・抗ウィルス機能」をとり上げました。

見直される消石灰の抗菌・抗ウィルス力

 以前、日本では鳥インフルエンザや口蹄疫が発生して大きな問題となりました。テレビのニュースで白い粉が大量に撒かれている光景は記憶に新しいことでしょう。撒かれていたのは石灰の粉です。石灰の強力なアルカリ成分はウィルスを短時間で死滅させます。漆喰は生石灰を水に反応させた消石灰が主原料で、同様に強力な殺菌力があり、カビの繁殖も抑制します。

TCID50:50%組織培養感染量

ギリシャ・ミコノス島内の路地裏。白く美しく塗られた壁。

 さて、ここで私が以前訪れたギリシャのミコノス島での体験に触れてみたいと思います。小さなオート三輪やロバが荷物を運ぶ狭い石畳の坂道の両側に、真っ白の壁の家や塀が建ち並んでいます。その白い壁に刷毛で更に白い塗料を無造作に塗っている婦人が居ました。片手に持っているバケツの中の白い液体は消石灰の液だそうです。婦人は決して改まった塗装をしているという風ではなく、まるで道に打ち水をするかのような手慣れたしぐさで塗っていました。どの家も壁ばかりではなく階段や外構にも塗り重ねられ、まさに街並み全体が石灰の塊となってまぶしいほどに輝いていました。地中海沿岸ではこのような光景を各地で見ることができます。

「白」は衛生環境の象徴

 では、なぜ白さを競うかのように頻繁に石灰を塗るのでしょうか。それは美観の維持もありますが、歴史的には衛生環境の維持に大きな役割を果たしているようです。

【生活臭の発生源】
ミコノス島の高台にある風車
生活臭に配慮する

 今でこそオシャレできれいなヨーロッパの街並みも、つい近世まではゴミや人畜の糞尿が散乱する不衛生極まりない時代を経験しています。当然ペストなどの疫病との戦いの歴史でもありました。そのような状況下、国の指導で殺菌力の強い漆喰仕上げが奨励された経緯が有ります。今でもトイレが完璧なまでに白タイル一色のホテルやレストランが多いのは、白いことが漆喰のイメージとも重なって清潔さの象徴でもあるからではないでしょうか。清潔さを保つためには普段から徹底した清掃が必要です。ミコノス島の夫人たちの刷毛とバケツは、まさに衛生環境を維持するための掃除用具でもあったのです。


 壁装材は貼った時が一番美しく、あとは貼り替えの時まで汚れるばかりです。特にエンボスのある壁紙類のクリーニングを経験した人は、その大変さを痛感していることでしょう。なぜなら、重労働の割には元のきれいさを回復することが難しいからです。しかも、湿気や静電気で壁には細菌やウィルスが付着しやすいことも心配です。それに比べると塗装は案外楽ですし、見事に元の美しさが蘇ります。近年は壁紙を張り替えずにその上から塗れる塗料を塗る家庭も増えています。

 ここで改めて美的環境に加えて衛生環境を維持しやすい仕上げ材として、主成分が消石灰である漆喰塗料『アレスシックイ』が注目されていることがご理解いただけたかと思います。清らかな生活空間の維持を提案することも、これからの時代にインテリアコーディネーターには求められるテーマのように思います。環境意識や健康志向の高まりから、生活者がインテリアに求めるニーズは決して見た目の美しさだけではなくなりました。デザイン性はもちろん、機能性にも着目した壁面のコーディネートを実践されてはいかがでしょうか。

保田 孝 (関西ペイント販売専属インテリアアドバイザー)

(#008 「漆喰塗料のチカラ-3」へつづく。)

What's PXI

PXI MTG

CASE STUDY

HOW TO

COLUMN

Q & A

EVENT