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ヨザン弥江子のデザインペイント

スタンピング2

(執筆:株式会社フォーアーツデザイン代表 ヨザン弥江子)

参考 “Stamp Decoration” Stewart and Sally Walton  Photograph. Graham Rae

表現の可能性

 スタンピングのナチュラル感、ラフさは独特の風合いがあります。巨大なハンコなので、よれたり、絵の具がかすれたリしますが、それは逆に肩の力が抜けた、やさしい仕上がりにつながります。日本人の気質上、柄がきちっと印刷のように押されているものを望みたい方も多いと思いますが、そこを少し我慢し、曖昧な表現のデザインペイントをぜひ楽しんで頂きたいと思います。今までとは違うスタイリングが見えてきます。
 さて、今回は風合い重視で作り上げるテクニックをご紹介します。

暖炉の部屋の天井画

アレスシックイ+スタンピング

 アレスシックイとスタンピングを合わせた表現を5種類ご紹介します。この表現方法にお気に入りの色を組み合わせることで、オリジナルなラインナップが完成。コーディネイトの幅が広がります。#003でご紹介したペイント前の計画は忘れずに!

 作業をより効率化するためのプロセス
  ● クリエイトする部屋のイメージ、ストーリーは?
  ● 色、レイアウトパターンは?
  ● サンプルを制作してから本番へ

事例1 シャビーな表現

 古い洋館に施された壁面のようなイメージ。シャビーなので古くさい愛らしい表現です。スタンプの色はできるだけバックグラウンドにとけ込むようなものを選びました。大人っぽいフェミニンさを感じる壁面です。

使用材料
アレスシックイ(グレー、アイボリー)、ローラー、刷毛、水性塗料(1色)、スタンプ

工程1

工程1

アレスシックイ(グレー)を
ローラー塗り

工程2

荒めの刷毛でアレスシックイのアイボリーを刷毛塗り。この時下地の透けたところを作るように。自然な塗り重ね、濃淡を作り、透け感をつくる。

工程2

スタンピング

事例2 シャビーな表現

 若々しく強い色のイメージですが、ドライブラシでかすれをきかせることで、少し落ちつかせることができます。またフラットなバックグラウンドにも退屈さを与えません。これは、スタンプを失敗した場合に全体を馴染ませる手法としても便利です。

使用材料
アレスシックイ(ホワイト)、ローラー、水性塗料(一色)、刷毛、スタンプ

工程1

工程1

アレスシックイ(ホワイト)を
ローラー塗り

工程2

スタンピング

工程3

ドライブラシ技法(カサカサした状態の刷毛で
スタンピングをかすれさせる)

事例3 オーガニック表現

 まるでインド綿のような風合いがオーガニックなやさしさを生みます。スタンプの絵の具に濃淡をつけたことで、地味な華やかさにつながります。下地のはけ目は自然にやさしさを作ってくれる便利な表現方法です。

使用材料
アレスシックイ厚膜型(ホワイト)、刷毛、水性塗料(2色の濃淡)、スタンプ

工程1

工程1

アレスシックイ厚膜型(ホワイト)、
金ゴテ塗り直後、荒めの刷毛で
刷毛ラインをつける

工程2

スタンピング(2色塗り分け)

事例4 プラスター表現

 下地がアレスシックイですので、しっかりと高級感のある質感が得られます。ベースのグレーが少し透けて、より一層風合いを生みます。手仕事ならではの表現価値です。

使用材料
アレスシックイ厚膜型(ホワイト)、ローラー、金ゴテ、刷毛、
水性塗料(ベースグレー1色、スタンプ用ネイビー1色)、スタンプ

工程1

工程1

PXI's又はアレスエコクリーン
マット(グレー) ローラー塗り

工程2

アレスシックイ厚膜型
(ホワイト)、金ゴテ塗り
(下地を少々すけさせる)

工程3

スタンピング

事例5 プラスター表現

 古いものを美しく楽しむイタリアンスタイルを表現しました。以上5種類の中で一番手間はかかりますが、段階をへて仕上げれば、もっとも間違いが少なく、出来栄えの良さが引き立つ表現方法です。配色とディストレスの程合いをコントロールすることで、あらゆるシーンを作り上げます。

使用材料
アレスシックイ厚膜型(ホワイト)、ローラー、金ゴテ、刷毛、
水性塗料(ベースベージュ1色、スタンプ用ブルーグレー1色、あずき色、)、
スタンプ、サンドペーパー(#360)

工程1

工程1

PXI's又はアレスエコクリーン
マット(ベージュ)ローラー塗り

工程2

アレスシックイ厚膜型
(ホワイト)、金ゴテ塗り
(下地を少々すけさせる)

工程3

スタンピング

工程4

アウトライン描き

工程5

ディストレス。サンドペーパーは
様子を見ながら軽くあてる

手を動かすとイメージが湧き出る

 コラム#003、004の2回にわたり、スタンピングをご紹介しました。壁紙の印刷物とは違い、心のこもった手仕事は、どこにもない特別な空間を作り上げます。ぜひ、今回の技法をマスターし、皆様のクリエイティビティーを存分にお使いいただければと思います。考えるより、手を動かしていくことで、もっと楽しい自分だけのオリジナルなデザインペイントが生まれます。ワークショップでぜひ、お会いしましょう。

See You Soon!

<ヨザン弥江子・プロフィール>

デコラティブペインター、ミュラリスト。東京都出身。女子美術大学・工芸専攻卒業/FIDM スペースデザイン科(L.A校)卒業。家具会社勤務経て1992年、装飾ペイントの分野へ。1995年、個人事業開始。2000年、株式会社フォーアーツデザイン設立。商業美術を中心に空間を彩るペイントの可能性を追求。「社会に役立つアートとデザイン」をテーマに、技術者の育成、技法の開発等、国内外のペイントビジネス分野での活動を続けている。ベジタリアン、2児の母。好きな作家は、アートに一途な生き方も大好きなジョージア オキーフ。琳派を継承した工芸デザイナーであり日本画家の神坂雪佳。今夢中なことは、自分のアトリエの設計。出来るだけ自然素材を使用し、必要最低限の機能性を持った、アトリエ小屋兼実験室を計画中。

ヨザン弥江子

株式会社フォーアーツデザイン 代表取締役 アートディレクター
yozan@fauxartsdesign.com

女子美術大学 アート・デザイン表現学科 ヒーリング表現領域 壁画講師
http://www.joshibi.ac.jp/department/college/healing

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