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ヨザン弥江子のデザインペイント

ステンシル

(執筆:株式会社フォーアーツデザイン代表 ヨザン弥江子)

誰でも使えるプロツール

 ステンシルと聞いて何を思い浮かべますか。年賀状の木版画代わりに使ったり、クリスマスのデコレーションペイントのツールというイメージでしょうか。
 ステンシルの言葉をおさらいします。ステンシル=型紙  ステンシルする=描く
 ステンシルは手軽で、誰にでも簡単に使えるツールです。そして私たちペインターの作業には欠かせない、おおいに役立つプロツールでもあります。

暖炉の部屋の天井画

 私のアトリエでは塗料や素材の知識経験を活かし、空間に合わせて様々な表情のデザインペイントを仕上げています。その中でも、お店のサイン、パターンデザイン、壁画制作に便利なのがステンシルの技法です。ステンシルの魅力は、誰でも簡単に好きな場所にペイントができることです。日本では渋紙の型を使った染色の伝統技法としても馴染みがあるテクニックです。

暖炉の部屋の天井画
''Stencil It'' published by Macmillan

 塗料の性能を選んで使えば、室内壁面、天井、床、壁紙から、クッション、カーテンなどのファブリック、家具に至るまで、好きなペイントを施すことができます。
 私たちがプロジェクトとしてステンシルを使って仕上げた仕事をいくつかご紹介します。

事例1<ステンシルを使った仕上げ>

 写真はアトリエにて、京都の結婚式場に納めたアートワークの制作風景です。キャンバスにアンティークコパーの下地を作り、2種類のターコイズブルーでステンシルをしています。このステンシルは麻の葉の模様からデザインを起こしたもので、コパーと水色の柔らかな組み合わせが、清らかで落ちついた華やかさを感じさせます

事例2<ステンシル×デザインペイント>

 フェンネルの花をデザインしたステンシルによるアートワークの一例です。 クライアントへの提案プロセスも一緒にご紹介します。

工程

工程1

アートワーク制作の手順として、まずモチーフのレイアウト、構図を決める原画を描きます。

工程2

その原画を元に、実際の色味や表情付けのペイントをした実寸の部分サンプルを制作します。

工程3

サンプルで仕上がりを決めたら、制作に取り掛かります。写真はステンシルした絵のアウトラインに沿って影色を入れて立体感を出しているところです。

完成

結婚式場での展示風景です。

 原画、サンプルと段階を踏むことで、実際にアートが設置された時のスケール感、存在感が空間にマッチしているか、使った材料の艶やパール感などがライティングに効果的であるかなど、完成イメージを検討しながら進めることができます。

 このアートワークでは、華やかな色を下地に、パールホワイトのテクスチャーを刷毛目でのせて、ベースの表情を作っています。凹凸によるクラフト感に、やさしい色味で温かさや柔らかさを感じる仕上げになりました。

このフェンネルの花のステンシルを、違う技法、違う色を使ってステンシルすると…

 これだけ大きく印象が変わりました。こちらは下地のアイボリーに、濃淡つけたダークブルーをのせることで、上品なコントラストを作っています。アクセントになる色でステンシルをすることで画面が引き締まり、まとまり感が生まれました。先ほどの雰囲気から一転して大人で落ち着いた雰囲気に仕上がっています。このように、場所や用途、環境に合わせてペイントを変えれば、一つの型紙でいく通りものデザインペイントが可能です。

事例3<リピートパターン>

 こちらは床専用塗料を使ってモルタル床30m2にステンシルしている作業写真です。シンプルなデザインですが、ステンシルならではのリピートパターンです。繰り返して何度も使いますが、そのうち塗料が固まり、ラインがずれてきてしまいます。現場作業のように時間が限られた場面では、ステンシルを数枚用意しておきます。型紙は手作業でカットし制作していますので、地道な作業もありますが、リピートパターンでデザインすれば、広い面積もペイント可能です。

ステンシルは賢い便利ツール

 欧米は日本よりもデザインペイントの文化が根付いているため、ステンシルはとても手軽で多くの人に愛用されています。描きたいものやデザインなど必要な形をスケッチし、その場でステンシルを作り、制作に使うこともあります。また、そのものは定規になり、手仕事をおおいに助けてくれる便利で賢いツールです。様々なペイント技法と合わせれば、個性的で装飾的な表現が可能です。プロから初心者まで、心地よく描くことができます。

''Stencil It'' published by Macmillan

 さて、次回のワークショプではイギリスのステンシル作家、ヘレンモリスさんがデザインしたステンシルを使用いたします。彼女の美しいデザインは、クラシックからコンテンポラリーまで、幅広いスタイルで創造力をかき立ててくれます。いざステンシルを経験してみると、簡単にデザインペイントが仕上がることに感動を覚えるでしょう。 まずはワークショップから、ステンシルの世界を一緒に楽しみましょう!

See You Soon!

暖炉の部屋の天井画

<ヨザン弥江子・プロフィール>

デコラティブペインター、ミュラリスト。東京都出身。女子美術大学・工芸専攻卒業/FIDM スペースデザイン科(L.A校)卒業。家具会社勤務経て1992年、装飾ペイントの分野へ。1995年、個人事業開始。2000年、株式会社フォーアーツデザイン設立。商業美術を中心に空間を彩るペイントの可能性を追求。「社会に役立つアートとデザイン」をテーマに、技術者の育成、技法の開発等、国内外のペイントビジネス分野での活動を続けている。ベジタリアン、2児の母。好きな作家は、アートに一途な生き方も大好きなジョージア オキーフ。琳派を継承した工芸デザイナーであり日本画家の神坂雪佳。今夢中なことは、自分のアトリエの設計。出来るだけ自然素材を使用し、必要最低限の機能性を持った、アトリエ小屋兼実験室を計画中。

ヨザン弥江子

株式会社フォーアーツデザイン 代表取締役 アートディレクター
yozan@fauxartsdesign.com

女子美術大学 アート・デザイン表現学科 ヒーリング表現領域 壁画講師
http://www.joshibi.ac.jp/department/college/healing

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