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デザインペイントの時代が始まる②

 このコラムではシリーズで、内装ペイントの魅力を新たな視点でご紹介しています。前回は、既製の内装仕上げ商品にはない塗装仕上げの表現力について、概略のご紹介をいたしました。今回は、まず「塗料」について、さらにもう一歩踏み込んだ内容に入っていきます。
 ここから「ペイント」は、「塗料」という仕上げ材を「塗装」という手法で施工することと定義してご紹介していきます。

執筆:関西ペイント インテリア専属アドバイザー 保田孝

事務所入り口ドア前の壁

 内装仕上げ材には多種多様な商品があります。その中で、「印刷で化粧された商品」と「塗料」を比較してみると、塗料の持つ魅力が見えてきます。
 皆さんがお持ちの内装材カタログやサンプル帳をご覧ください。そのほとんどの製品は印刷で仕上げられていませんか? 内装仕上げ材料ばかりではありません。今日では造作材や建具、家具なども印刷仕上げのものが多く見られます。なぜこれほどまでに印刷による仕上げが普及したのでしょうか。その主な理由は次の通りです。

1. 高価な石材や木材も印刷を使えば容易に本物そっくりにつくれる。

2. 大量生産によりデザインや品質が安定的に供給できて、材料費の抑制も可能になる。

3. 乾式工法により工期を短縮することで、工事費のコストダウンが可能になる。

 それに比べると塗料は、サイディング等、一部の量産仕上げの材料を除くと、現場で塗装工程を経なければならない湿式工法のため、一般住宅での採用は日本では少なく、敬遠されてきた経緯があります。また、塗料といえば単色でフラットな仕上げだけだと認識されているインテリアコーディネーター(以下IC)も少なくありません。そのような先入観の殻を破っていただくのも、このコラムの狙いです。
 では早速、本題に入りましょう。

ペイント仕上げと印刷された仕上げ材との根本的な違い

 塗料の強みを知っていただくために、ここでペイントと印刷された既製の仕上げ材を「塗料×塗装」対「インク×印刷」という比較で説明しましょう。

1.仕上がり感

 「インク×印刷」は下地材の影響が少なく、表面を全く違う仕上げのデザインで覆うことが可能です。一方「塗料×塗装」は下地素材を塗膜でコーティングすることで、下地材の表情や質感を生かすことができます。
 また「インク×印刷」はエンボス加工によってリアリティが一層高まりますが、「オ―ク“調”」や「大理石“風”」「木目“柄”」などと呼ばれるように、あくまでもイミテーションです。
 「塗料×塗装」にも、フォーアーツと呼ばれる本物そっくりに見せる特殊な技法もありますが、むしろ下地となる材料の表情を生かし、“らしさ”を際立たせるのが特長です。

2.耐候性、耐久性

 「インク×印刷」は、日焼けによる変色や退色が早かったり、ドア枠や見切り縁、笠木等、手がよく触れる部分はこすれによって木目などの印刷が消え、基材が露出してしまう場合があります。
 しかし、「塗料×塗装」ではインクと比べ塗膜が厚いため、耐候性、耐久性に優れ、美観低下の心配が少ないのが強みです。

3.機能性

 「インク×印刷」では、印刷面のコーティング膜が比較的薄いため、付与できる機能に限界があります。その点「塗料×塗装」は塗膜が厚く、また塗り重ねることでさらなる効力の向上や持続が図れます。
 例えば、左官材料である漆喰をそのまま塗料化した漆喰塗料(関西ペイント製「アレスシックイ」)は、漆喰の持つ消臭、調湿、抗ウイルスなどの多彩な機能を、その厚さに応じて長期間持続させることができます。また色数も126色と豊富なため、機能とデザインの両面からアプローチが可能です。

※126色の中でも人気の高い40色を厳選してまとめた「アレスシックイ」カタログを下記よりご覧いただけます。
http://www.kansai.co.jp/products/catalog/pdf/818.pdf

4.メンテナンス、リフレッシュ

 メンテナンスの面でみると「インク×印刷」は、壁紙等に汚れやキズが付いた場合、部分的な貼り継ぎ補修は返って目立ち、不自然な仕上がりになりがちですが、全体を貼り替えてリフレッシュさせることはできます。しかし、剥がした後の大量の壁紙は、産業廃棄物として処理が必要になります。また造作材の場合は、ラミネートシートを貼り直したり、造作材毎の交換が必要になるため、コストが掛かってしまいます。
 一方「塗料×塗装」では、経験の浅い方でも比較的自然に部分補修を行うことが可能です。また、壁紙の上から何度でも塗り重ねができるため、気分に合わせて小まめにメンテナンスを行うことができます。最近はDIYの普及により、汚れたからという動機ではなく、イメージアップ、イメージチェンジというニーズで塗り替え需要も高まっています。

塗料の持つ表現力

 さて、ここからはペイントの魅力をさらに掘り下げて「塗料」と「塗装」に分けて解説します。まず今回は「塗料」についての解説です。

1.どんな下地でもその素材感や表情を残せる。

 先に述べたことの繰り返しになりますが、塗料は下地素材を塗膜でコーティングするため、下地材の表情や質感を生かすことができます。表面を保護しながら下地の色柄や凹凸をそのまま残すクリアー塗料から、凹凸のみ残して違う色つやに仕上げる隠ぺい塗料まで、豊富な選択ができます。ペイントが普及している欧米では、石やレンガなどの構造材や、下地材の多様性を生かした塗料の使われ方が多彩に行われています。

好きな色を気軽に楽しめるのがペイントの魅力。下地のレンガのパターンと凹凸の表情をそのままに残して、容易に塗り替えもできます。
木室内装材の場合、塗料や塗装方法の選択によって木目や節の塗料の吸い込みの違いや凹凸の陰影効果で木肌の経年美化が強調され、保護にもなります。 

2.下地がどのような形状でも継ぎ目なく一体に仕上がる。

 既製の仕上げ材はサイズが限定されていて、どうしても継ぎ目が見えてしまいます。これは乾式工法の宿命です。壁紙などはきれいに貼り継ぎできますが、厚みのある材料は突き付け部分を隠すため、樹脂製のジョイナー等を使う場合が多くあります。その点、塗料は継ぎ目もなく、難なくエンドレスに仕上げられ、一体感のある高級なイメージを演出できます。
 壁紙やシート材は、円柱のような一次曲面には貼れますが、球面に継ぎ目なく貼ることは困難です。下地がフラットでないと貼れない材料が多いことも難点の一つです。また、経年で継ぎ目に剥がれが生じることもあります。しかし塗料は下地の形状に左右されることなくシームレスに仕上げられます。これらの「当たり前」が塗料の魅力ではないでしょうか。

3.異なる下地材でも同じ色彩に統一して仕上がる。

 既製の仕上げ材でカラーコ―ディネーションをする際に難しいのは、異なる材料やエレメント同士を同色にしたい場合です。例えば、壁と造作と家具のように3種類以上となると、既製品で同色に揃えるのはほぼ不可能です。皆さんも少しずつのズレが非常に気になった経験はありませんか。下地材が違っても同じ色彩や艶に仕上げられるのも塗料の強みで、その上品な一体感はペイントならではの高級感につながります。

4.左官に近い立体感豊かな表情もつくれる。

 一般的な塗料は滑らかな液状ですが、組成を変えてマチエール(厚塗り、薄塗りなど塗料の層の違いから生まれる重厚さや滑らかさなど)を楽しむことができます。更に、昼間の採光や夜間の照明など、光源の違いも加わることで空間の印象も変わります。それぞれ表面の陰影にデリケートな変化が生まれ、立体感豊かな表情がつくられるのです。
 例えば、砂状の骨材を混ぜ込むと表面が粗めの仕上がりになります。前述の漆喰塗料には厚塗りが可能な商品もあり、ハケやローラー以外にコテやヘラなども使います。こうなると塗装と左官の境界がますます曖昧になり、更に豊かなマチエールを楽しめます。近年の職種の多能化とボーダーレス化の動きは、ICにとっては一層豊かなインテリア表現が可能となり、歓迎すべき兆候ではないでしょうか。

 さて、連載2回目の内容はいかがでしたか。次回は「塗装の持つ表現力」です。ペイントの魅力についてはまだまだ入口です。例えばセメントという材料を思い浮かべてみてください。セメントを使って彫刻からダム建設まで、無限な造形ができるように、塗料は塗装という技術によって無限な表現ができるのです。3回目もどうぞお楽しみに!

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