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デザインペイントの時代が始まる

 今回からシリーズで、内装ペイントの魅力を新たな視点でご紹介してまいります。
 題して、「デザインペイントの時代が始まる」です。
 このシリーズでは、塗料、塗装に関するハード面の知識は横に置いておいて、「デザインペイント」という新しい内装表現のジャンル紹介から入ります。2回目以降では、デザインペイントの表現力を支える塗料、塗装について説明し、最後にインテリアコーディネータやペインターなどがコラボレーションする、これからの内装プランニングの話に繋げたいと思います。

執筆:関西ペイント インテリア専属アドバイザー 保田孝

事務所入り口ドア前の壁

デザインペイントの魅力を体系的に理解していただくため、
今回から5回にわたって次の内容で掲載します!

1. 貼り物の既製の内装材にはできないペイントの持つ表現力
2. 印刷や機械的なエンボス加工ではできない下地と塗料のコラボレーション
3. 内装建材の画一性にはないオリジナリティを高める塗装のツールとテクニック
4. 内装表現の領域を広げるグラフィカルなオリジナル内装デザイン
5. 職能間のボーダーを超えて、異なる職種、職能の協働による新しい空間クリエーターを目指して

 では本題に入りましょう。

デザインペイントとは

 新築やリフォームなどの現場では、多くの場合、内装仕上げ材はすでに壁紙等に決められていて、ペイントが選ばれる場合は、貼り物では仕上げができない場合がほとんどです。この場合ペイントする塗料は、色選びがメインで、壁紙のようにサンプル帳から色柄を選ぶ時のような多様なデザインが無く、楽しさに欠けます。
 しかし、デザインペイントの場合、ペイントを仕上げ材としてではなく、オリジナルデザインの手法として使えば、内装計画のプロセスが一変します。既製の内装仕上げ材の「選択、組合せ」という作業を超えた「作品創り」になりますから、インテリアコーディネーターの役割はインテリアデザイナーやアーティストという、よりクリエイティブなものへシフトして行きます。
 オフィスの内装を想像すると分かりやすいのですが、デザインペイントは、例えば下地の上に艶を抑えた単色の平滑な塗料で塗装された場合と違って、よりデザイン的な意図が盛り込まれて作品性が高く、単なる仕上げ材料を超えたビジュアル性を持っています。

 デザインペイントがなされた空間は、クライアントの想いやデザイナーの想いが、塗装面に色や艶、テクスチャーなどの表情として塗り込められ、更には柄やグラフィカルなデザインを施すことで、下地を覆う仕上げ材にとどまらない積極的な空間表現ができます。絵画性を持たせたデザインは、オリジナル作品であるからこそ他にはない価値とメッセージが込められています。
 まずデザインペイントの世界を知るために、単純な表現から、よりグラフィカルな表現までに分類してご紹介しましょう。塗装の範囲は壁や天井、またはその一面の場合に限らず、造作、家具などがそれに絡んでくる場合もあります。

デザインペイントという新しい内装ジャンル

塗料の表現力と塗装の表現力

 ペイントが持つ、その他の内装材と違う特徴や強みを理解していただくことが、デザインペイントの入口となります。ペイントは「塗料」いう仕上げ材料を「塗装」という施工技術で仕上げることの総称です。そこで次回よりペイントを構成する塗料と塗装という二つの側面からデザインペイントの世界を紐解いていきます。
 詳細は次回から述べることとして、今回は項目を列挙し、アウトラインを掴んでいただこうと思います。まずは塗料から。

塗料の表現力

 塗料は色彩や艶、材料構成だけでも無限の表情が出せます。さらに塗装の技術を掛け合わせることで既製品にはない優れた表現力で、思った以上の魅力が創り出せます。

1.どんな下地でもその素材感や表情を残せる。

 ペイントは壁紙と違い、下地を覆い隠すのではなく、下地素材の表情や質感をそのまま残すことができます。これを人の顔に例えると、貼り物はマスクを被って変身するのに対して、ペイントは化粧に似ています。その人の顔の造りをそのままベースに“らしさ”を際立たせることができます。

2.下地がどんな形状でもつなぎ目なく一体に仕上がる。

 タイルや壁紙などの平板の貼り物で曲面や複雑な凹凸部分を仕上げるのはとても難しいのですが、塗料はどんな形状の下地でも全く影響されることなくシームレスに仕上げられるので一体感が保てます。

3.異なる材でも同じ色に統一して仕上がる。

 下地材料が違っても同じ色と艶に仕上げられるのも塗料の強みで、同じ色に統一した一体感はペイントならではです。これを既製の仕上げ材や造作材、家具などで色と艶を統一するのは現実的には難しく、微妙な色彩のズレが残ってしまいます。

4.左官に近い立体感豊かな表情がつくれる。

 一般の塗料は液状ですが、例えば砂状の骨材を混ぜ込むと粗めの仕上がりになります。また漆喰塗料など、厚塗りが可能な商品もあって、ハケやローラー以外にコテやヘラなども使います。こうなると塗装と左官の境界がますます曖昧になり、更に豊かなマチエールを楽しめます。インテリアコーディネータやペインターなどの職種の多能化とボーダーレス化の動きが近年さらに加速する中で、一層豊なインテリア表現が可能となり、歓迎すべき兆候ではないでしょうか。

塗装の持つ表現力

  塗料の次は塗装の表現力です。塗料に塗装の技が加わって、単に「平滑でムラのない均一な塗装」にこだわらない表現の世界が拡がり、更に多様な表情を創造することが可能です。塗装の多様なテクニックが加わることで、敢えて言えばムラ、荒れ、不揃いも奥深い表現の味となるのが「デザインペイント」というジャンルの多様性です。

事務所入り口ドア前の壁

1.オンブレ(ボカシ)のテクニック

 いくつかのオンブレをご紹介します。ペイントの最大の特徴は自在なボカシができることです。

①境界のオンブレ

 異なる色同士の境界部分のみ色を馴染ませてボカしていく方法です。既製の仕上げ材による貼り継ぎでは、できない表現技術です。

②グラデーション

 色の濃淡を少しずつ変化させるペイント方法です。単色だけではなく色違いのボカシで作るグラデーションでインテリアにソフトな空間性をもたらすことができます。

③輪郭のオンブレ

 淡い雲のように輪郭のボカシで曖昧な色の濃淡の変化をつくりだす手法で、カメラレンズの特性を生かしてバックをボカす手法と似ています。主体となるオブジェクトを引き立てる効果もあります。

2.グラフィカルなデザイン

 内装塗装と聞くと、平滑且つ均一に単色で仕上げるものと思い込まれる傾向がありますが、塗装の概念を絵画の方向にベクトルを向けると、一気にペイントの世界が広がります。そこがデザインペインへの入口です。

3.壁画・天井画

 壁画(ムラル)とか天井画と言うとまさに画家の仕事というイメージですが、グラフィカルな壁面意匠にはもっと身近な表現がまだまだあります。

4.その他の多彩なペイント表現手法

 塗装と絵画の手法が融合することでデコラティブペイントとかフォーアーツ(FauxArts)、パブリックアーツなどと呼ばれるペイントジャンルが、さまざまなスペシャリストによって展開されています。建築の内部空間に限らず街並の表情づくりまで、キャンバスに限定されない絵画といえます。それぞれに目的や制作手法が異なりますが、住宅などの生活空間にも採用が広がりつつあります。詳細は最終回のコラムでご紹介します。

 ではコラム「デザインペイントの時代が始まる」、次回からの掲載をご期待ください。

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