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COLUMN:ペイントジャーニー 第一回:スポンジングの誘惑

ペイント探訪 approach.1:東京塗料会館

日本の住まいをデザインペイントでもっと楽しく、おしゃれに、カラフルに。そんな想いをたくさんの方に知っていただくため、新コーナーが誕生しました。その名も『ペイント探訪』!
 日本の住まいは、まだまだ白い壁、白い天井が大多数を占めていますが、インテリアに合わせたカラーリングや個性的なデザインを楽しむ方も増えてきています。そこで「百聞は一見に如かず!」とばかりに、実際に建てられている魅力あふれる物件を訪問し、皆さんへご紹介しようというのがこのコーナーです。

記念すべき第一回は、昨年、デザインペイントによるリノベーションが行われた「東京塗料会館」をご紹介します。

 東京塗料会館とは、一般社団法人・日本塗料工業会らが事務所を構える建物で、普段は企業や団体の会議、セミナーなどが行われているところです。JR山手線、東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩12分、近くには恵比寿ガーデンプレイスもあるおしゃれな立地にありますが、一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんね。

  日本塗料工業会では、日本塗料商業組合、日本塗装工業会とタッグを組み、塗料を使った自宅・商業施設・オフィス・学校などの内装の塗り替えを様々な形で推奨しています。こちらのペイントリノベーションはその一環で行われたもので、デザイン・監修は、 PXIのコラムやペイントアカデミーの講師としてお馴染みのヨザン弥江子さん。施工は、同じくペイントアカデミーの講師をお願いしている荒木俊成さん、そして日本塗装工業会・技能委員会のメンバーが担当されたそうです。

 それまで白一色だった壁面が、日本の伝統色や吉祥文様などを取り入れたデザインにイメージチェンジ。まさに塗料・塗装を発信する場にふさわしい装いになりました。

柔らかなヒーリングの空間、淡い空の表現はボタニカルなどとの相性もよく、老若男女に好まれることでしょう。

 今回のリノベーションには、デザインペイントの可能性と広がりを来館者に伝えるという目的もあり、多様な手法とテクニックが用いられています。例えば、ロビー壁面に作られた三角形のデザインは塗料業界を担う、「製・販・装(日本塗料工業会、日本塗料商業組合、日本塗装工業会)」三団体の協調を表現しているそうですが、テーピングで三角形の形を決めた後、スポンジングやラギングなどで塗装。ラギングは、布(ラグ)を丸めて塗料を付け、叩くように押し付けていくのが一般的ですが、今回は布の代わりにビニールを使ったそうです(写真下右)。道具もいろいろと工夫してオリジナリティを生んでいるのですね。

柔らかなヒーリングの空間、淡い空の表現はボタニカルなどとの相性もよく、老若男女に好まれることでしょう。

 また、ホール壁面では「青海波」と「千鳥」の和柄を刷毛で叩いて付けていくステンシルの手法が用いられています。日本画などで昔から使われている縁起の良い和柄なので馴染みもあり、そのまま和室の壁に取り入れられそうなデザインです。

柔らかなヒーリングの空間、淡い空の表現はボタニカルなどとの相性もよく、老若男女に好まれることでしょう。

 これら以外にも木目調に仕上げたり、大理石のような風合いを出したり、歴史を感じさせるようエイジング加工したり…。デザインペイントの技法は本当に多種多様。手仕事ならではのオリジナリティを加えれば、さらに表現方法は無限に広がっていきます。

柔らかなヒーリングの空間、淡い空の表現はボタニカルなどとの相性もよく、老若男女に好まれることでしょう。

左)丸天井/淡いメタリックのテクスチャーを使い、スポンジング手法などでやわらかな月明かりを表現
右)ホール壁面/テーピング手法を用い、江戸時代中期以降に庶民間で大流行した両滝縞(りょうたきじま)を再現

事務所入り口ドア前の壁

 塗料会館で行われた「建築塗料・塗装セミナー」の講師として、ちょうど来られていた荒木俊成さんにお話を伺うことができました。
 「塗装は、他の材料と比べてオリジナルなものが簡単にできるという魅力があります。今回のペイントリノベーションは、内装需要の拡大をテーマにしていますが、最近は外装にもオリジナルなものを求められるお客様が増えていて、一般の住宅でも外壁に花吹雪を散らしてほしいとか、エントランスの壁に草花を描いてほしいといったご要望もありました」
 デザインペイントは美しく装うだけでなく、例えば防火地域で外壁に木材が使えない場所でも、不燃認定が取れている材料に木目調のデザインペイントを施して、木造住宅風に仕上げることができたり、壁の体力を考慮して軽い素材を御影石やコンクリートなど、重量のある素材のように仕上げて躯体への負荷を軽くすることもできるとか。

 「ヨザンさんが“デザインペイント元年”といわれていますが、私もようやく世間が追いついてきたな、そういうものを求める時代の兆しがあるなと感じています。一般のご家庭でも、昔は目立つ色は好まれず、塗り替えも前と同じ色がいいと言われるのがほとんどでした。でも最近は、変えてみたい、よそにはないオリジナルにしたい、という発想が芽生えてきているのを感じます。それも、年配になられてからそういう発想をされる方が多いです」
 これまで日本の住宅の壁や天井は、真っ白が一般的。色を付ける、花柄や絵を描くという発想はほとんどありませんでしたが、海外のインテリア雑誌やインターネットを見て刺激を受けた方が、デザインペイントに興味を持たれているようです。
 また、荒木さんが今回講師をされたセミナーやPXIセミナー、ホームセンター等でのワークショップのように、デザイナーや一般の方がデザインペイントを知る気軽な機会も増えてきています。

 最後に、施工された中で一番おすすめのところを伺うと「特にというわけではありませんが、丸柱には浮世絵の技法でもある” 雲母摺(きらずり)”という手法を使っています。柱をぐるりと回ってみると三つ鱗の三角形の模様が角度によって見えたり見えなかったりします。ロビー壁面の三角形ともマッチングしていて、上品な仕上がりを見ていただきたいですね」

 荒木さんのところには、ホームページを見て「塗装でこんなのできますか?」といった特殊な相談も寄せられるそうです。ホテルや店舗、個人宅など様々な物件をデザインペイントされている荒木さん。ぜひ今後「ペイント探訪」で、見学に伺わせていただきたいです。皆さんお楽しみに!

事務所入り口ドア前の壁

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