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COLUMN:ペイントジャーニー 第一回:スポンジングの誘惑

こんにちは! ペイントスタイリストのワタナベです。このシリーズでは毎回、皆さんに色彩やインテリアなどに関するちょっとした話題をお届けしていきます。今回は2017年8月に東京で行われた「PXIペイントアカデミーワークショップ ヨザン弥江子のデザインペイント②」でもご紹介させていただいた、カラーウォッシュを取り上げます。

執筆:関西ペイント ペイントスタイリスト 渡辺昌紀

第一回:スポンジングの誘惑

 第1回のスポンジングでは、海綿に付けた塗料の自然な濃淡を活かしてサビやコンクリートの質感を再現するデザインペイントをご紹介しました。今回ご紹介するのは、積極的にハケでボカシを施すカラーウォッシュによる空と雲の表現です。カラーウォッシュは表現範囲が広い技法なので、ぜひマスターしておきましょう。

今回ご紹介するのは、積極的にハケでボカシを施すカラーウォッシュによる空と雲の表現です。
カラーウォッシュは表現範囲が広い技法なので、ぜひマスターしておきましょう。

 窓のない施設や地下街は外の天候もわからず閉塞感、孤立感を感じることも。そこで壁面や天井に青空を描くなどして、開放的で明るい雰囲気をもたらす場合があります。またベルギーの画家マグリットは曇天の浜辺上空に鳥のシルエットにくり抜かれた青空を描きました。それは北欧の長い冬からくる青空への渇望、または現状からの脱却の象徴などとも言われています。「そんな青空がお部屋にも欲しい!」でも壁紙を使うと同じ形の雲がずらりと整列することに…。ペイントするにしても、教会の天井画のようなリアルな空を描くには高い技術が必要です。そこで試していただきたいのがカラーウォッシュ。正しい手順を踏めば、手軽に青空を描くことが出来るのです。

ベルギーの画家マグリットは曇天の浜辺上空に鳥のシルエットにくり抜かれた青空を描きました。

 スポンジングでは、塗料を画面に軽くのせてボカシの効果を得ていましたが、カラーウォッシュは、塗料をハケでこすり付けるようにしてボカシます。画面の下地には均一にグレーが塗られますが、これは下地が透けて見えることで全体の鮮やかさを抑え、落ち着いた仕上がりにするためのもの。また雲と空の間にグレーを程よく塗り残せば、雲に立体感を与える影となります。空と雲に使う色は前回のスポンジングと同様、近似する2色を使ってください。そして塗り始めは必ず淡く色を付けていきましょう。空と雲のコントラストを付けたいときは薄く少しずつ重ね、一度に濃くしなければ失敗が少ないそうです。霧吹きで画面全体を湿らせてから塗料を含んだ刷毛を大きく動かし、色の境がぼやけるように伸ばしていきます。画面が乾いてしまうとぼかすのが難しくなるため、完成までの間は画面が乾かないよう、そして塗料が垂れないよう水加減に注意します。塗り進めるうち下地のグレーが完全に隠れてしまうと平坦な塗りになってしまうため、どの時点で完成として切り上げるかの見定めも重要です。

ペイントアカデミーでの、デザインペイントの技術のひとつ「スポンジング」

 欧米の飲食店にも同様の曖昧でやわらかな空のペイントが見受けられ、穏やかな空間を提供しています。カラーウォッシュで描く空はリアルなものではなく、ふわりとしたトーンの空間をつくることが目的です。また空自体が刻々と変化するため、これが正解の空というものは存在しません。自身やクライアントにとって満足できる仕上がりとなることが重要です。

ペイントアカデミーでの、デザインペイントの技術のひとつ「スポンジング」

 柔らかなヒーリングの空間、淡い空の表現はボタニカルなどとの相性もよく、老若男女に好まれることでしょう。そのやさしい風合いは子供部屋にはもちろん、雲と空のコントラストを低く抑えれば居間や寝室にも使える表現です。最後に薄く溶いたイエローを淡く重ね、レトロな雰囲気を加えれば、シャビーシックや塩系のインテリアにもマッチすることでしょう。青色をペパーミントグリーンやコーラルピンクなどに変えることで様々な時間帯の空やそれ以外の表現が可能です。

柔らかなヒーリングの空間、淡い空の表現はボタニカルなどとの相性もよく、老若男女に好まれることでしょう。

  空と雲はとても身近にありながらも、改めて観察することは少ないのではないでしょうか。実際の雲を観察して描けば、よりリアルな空へとスキルアップ。新しい技法への挑戦と反復、そこに個性という強みが生まれます。
 様々なインテリアスタイルに合わせられる空間表現であるカラーウォッシュに、<PXI’s>の豊富な色を使って挑戦してみてください。

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