PXI[ピクシィ]会議

PXI MEETING

キャリアを積んで新しく見えてきたもの

 インテリアコーディネーター(以降IC)の皆さんに、住まいのインテリアや塗装、塗料について、率直なご意見を伺うために始まった[PXI(ピクシィ)会議]。第4回目は群馬、軽井沢方面で活動されているICの羽鳥義直さん、成田真由美さん、鳥越美保子さんにお集まりいただき、当社専属アドバイザーである保田孝、北関東信越販売部・宝示戸学をまじえて、北関東の住宅事情やいま取り組んでおられる活動内容などを伺いました。

キャリアを積むほどやりたいことが広がっていく

宝示戸私は現在、前橋営業所に勤務し、建築担当として営業活動をしています。軽井沢など湿度の高い地域で、アレスシックイの調湿効果などがお役に立てないかと販促活動を進めているのですが、最近は実績にも結びつき、着実に認知されてきている実感を持っています。その経緯で漆喰塗料の効果にも詳しい羽鳥さんとも親しくさせていただくようになり、本日はご厚意で羽鳥さんの軽井沢山荘事務所をお借りして、皆さんにお集まりいただきました。

保田氏この【PXI MEETING】では、全国のICが、それぞれの立場でどういう活動をされているか、PXIを通じてご紹介していきたいと思っています。狭い日本ですが、地域によって自然環境、歴史、文化、産業それぞれが違います。その中で、ICの方たちが、やはりさまざまな貢献をされていると思うのですが、まず皆さんの最近の活躍内容などをお話しいただけますか。

成田さん私は、昨年まで11年ほど群馬インテリアコーディネーター協会の会長をしておりました。仕事の方は、+M space design studio(プラスエム スペース デザイン スタジオ)という設計とインテリアデザインの事務所を主宰しており、住宅リフォーム、商業空間のデザインを主たる業務とする傍ら、ハウスメーカーのオープンハウスのインテリアディスプレイなどの業務もしています。その他、専門学校でインテリアデザインの講師をしたり、インテリアに関することであれば何でも引き受けるのが事務所のモットーで、トータルに暮らし方をデザインするという考え方で仕事をしています。楽しいのでいろいろ手を出したくなってしまいます。仕事がつながって広がっていきますから。

羽鳥さん私は「自然との共生」をテーマに、軽井沢の自然の中で健康的に住まうための、土地探しからトータルにサポートすることを仕事にしています。また「軽井沢の事は熟知した我々に相談してください」と、建築士、測量士、建築コーディネーターと組んで「軽井沢フレンズ」も起ち上げています。軽井沢だったら北欧テイストを愛してもらえるだろうと、ユーズドも含めて北欧の照明や家具などを代理店から購入して提案していますが、ブランド志向で軽井沢に来られる方などには、北欧テイストをシャビーに感じられる人もおられるみたいです。十人十色といいますけど、自分の思いを皆さんにどうやって理解してもらうか、提案するのがいかに難しいかということを最近、いまさらながら感じています。

鳥越さん私は2014年から群馬インテリアコーディネーター協会の会長を務めています。ハウスメーカーに17年ぐらい勤務した後、現在はフリーで主に造作家具に関わるデザイン提案をしています。個人住宅というより展示場の家具であったり、医院とか施設的な物件の家具を手掛けることが最近は多いですね。それと香りもインテリアの一部と考えて、付加価値提案できるように勉強しまして、アロマスペースコーディネーターとしても活動しています。

保田氏いまのお話しをお聞きして思い出すのは、ICのキャリアを長く積んでこられた方に改めて「ご専門は何ですか?」って伺うと、皆さん返答に困られるんです。仕事をすればするほどキャリアの幅が増え、富士山のように裾野が広くなってくる。視覚だけではなく五感に訴えるインテリアの仕事はICが率先してやっていくジャンルだなと思いますが、アロマスペースコーディネーターとはどういうお仕事をされるんですか?

鳥越さんそうですね、いままでコーディネーターというと、ほんとに見た目の装飾的なところで表現をしていましたが、いま、自分だけが持つ贅沢というような、そうした部分を望まれる方がすごく多いと思うんですね。選択肢はいろいろあると思いますが、私はその中でアロマを選び、香りもインテリア演出の一部と考えて、生活シーンにふさわしい生理的、心理的効果に配慮した提案を行なっています。

羽鳥さん先日、軽井沢でされた仕事というのはどういうものですか?

鳥越さんそれは定期的に受けている仕事なんですけど、アウトレット施設内にあるアパレルショップに香りを演出するというものです。定期的に香りを補充したり、季節によって香りを替えたりしています。

羽鳥さん以前、群馬インテリアコーディネーター協会の主催で、前橋市のショッピングモールで「椅子の森」というタイトルのイベントをやりました。そこで鳥越さんがディフューザーで香りを演出してくれたのですが、来られる方が「あ、いいニオイだ。森のニオイだ」っていう人がいましたね。狙い通りなんでしょ? あれはヒノキ系? 柑橘系?

鳥越さん柑橘系ではなくてテーマを意識し、森のイメージでヒノキとマツ、あとユーカリをブレンドしたものです。テーマに合うことはもちろんですが、季節であったり、お客様の年齢層であったり、そういったものをいろいろ考慮して。また、香りもそれぞれ効能がありますので、それもプラスして演出しています。

地域性を意識した住まいの特長

保田氏地域性の話をしたいんですが、よく使われる木材とかってありますか?

成田さん群馬の木といえば、スギでしょうか。 群馬県産の木材「ぐんま優良木材」を使って住宅を新築したり、内装をリフォームする場合に、県から補助が受けられる「ぐんまの木で家づくり支援事業」があるんです。県産の杉の間伐材などを規定量使うことで補助金が出るという制度です。

羽鳥さん行政と「群馬県ゆとりある住生活推進協議会」が、毎年<「ぐんまの家」設計・建設コンクール>というのを主催しています。最優秀賞作品のコメントに「自然素材にこだわって地元のスギ、ヒノキ材を多用し…」と書いてありますからからスギとヒノキなんでしょう。それとこの総評の中で、あえて群馬の特長といえるかどうかですが「昔の養蚕農家を思わせる軒の出を強調した切妻のシンプルなデザインは、群馬の自然気候風土に調和し…」とあります。こういった軒を出して強調するスタイルは群馬の切妻の特長といえるのかな?

成田さん群馬県は「赤城おろし」や「上州のからっ風」など、比較的風が強いって言われてますよね。他県から来られると、冬は「寒い」じゃなく「痛い」って言われるんですよ。ただ日照時間が全国に比べて長いので窓を大きくとると非常に効果的だそうです。私が自宅を建てるときには、やはり風圧力にすごく神経質になりました。ちょうど河川敷の道路沿いなので、風当たりの方が心配でしたね。「赤城おろし」が河川敷から吹いてきて、ものすごいんですよ。

鳥越さん風の強さも大変ですが、夏は本当に蒸し暑いです、かなり。

宝示戸ドライヤーで温風を受けているようなイメージですよね。

保田氏先日お伺いしたこの地域のお宅が、普通の切り妻じゃなくて、片側の屋根が長いいわゆる「招き屋根」だったんですが、風圧力を弱めるために設計したといわれていました。それと、洗濯物が干せないので部屋の中で干すとも。

成田さんそうですね。最近、部屋干しにしたいと言われるお客様増えていますね。いま定期的に、これから家を建てようって思われている方に展示場でセミナーもしています。来られるお客様の中にも洗濯室というのを考えておられる方、結構多いようです。関西ペイントさんのアレスシックイなども、湿気取りにいいじゃないですか。洗濯室の内装を吸放湿する仕上げにされたらどうですか、というお話もしたりしてるんです。

宝示戸おかげさまで前橋、高崎辺りでも、アレスシックイの採用率がかなり高くなっています。昔と比べたら検討してくれる方が出てきたな、という実感はありますね。

自分らしさを追求するマイナスの美学

成田さん話は違うかもしれないんですけど、高度成長期は住まいの部材は乾式工法中心の時代だったので、漆喰のような湿式の仕上げは、おすすめしにくかったんですよ。ちょっとクラックが出ただけで苦情が出たりするので。でもここ数年、若い方やこれから家を建てる方の動向が変わったなと思っています。朽ちていく様を楽しむというか、ペイントも昔は色が落ちると怒られたものですが、いまはわざとアンティーク風に塗りたいとか、ちょっとひび割れた感じが美しいとか、木の割れもそのままがいいとか、そういう家の建て方に変化していっているような気がしますね。

保田氏価値観も多様化していいことですね。ヨーロッパの古い都市の街並みは、それこそ古びて、剥がれ落ちて、汚れてくすんで味が出てくる。それが歴史を感じさせていますね。例えば壁を例にとっても、傷みや汚れもそうですが、手直しの痕跡をそのまま残す。また、あえて色むらを出したり、目地を乱すとかいろいろあるじゃないですか。これが一つの味になっている。そういうところに気付く人が増えてきたということですよね。

成田さん自分らしさというか、意外と間取りなども固定概念にあんまりとらわれない考え方をする人が増えていまして、素材に関してもできるだけ天然というか、若い人ほど自然素材を要求してくるお客様が増えてきてますね。

鳥越さん確かにそうですよね。若い人の方がそういう部分に敏感で、自然の木のままで塗装もしなくていいとか、自分たちでペイントしてとか、結構そういう話は聞きますね。

成田さん最近、マイナスの美学って必要だなと思っています。プラスしていくのは簡単なので、これから求められるものっていかにマイナスしていって美しく仕上げるかというのが求められているみたいで、余分なものを削っていく方がインテリア的ですよね。

保田氏日本の和室なんてまさにその無いことの美学ですよね。ミース(ドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエ)が「Less is more(少ないほど、豊かである)」って言いましたよね。あれなんかまさしく僕らがモットーとしなければいけない、無い事の良さというか、少ないことの美しさですよ。ところが飾らないと寂しいから飾る、という心の寂しさがよけい物を増やしている。

成田さん誤解されてるんですよね。インテリアっていろいろ盛り込むものと思われがちですが、調和を考えたらいかにマイナスしていくかが大事だと思います。いま「Normcore(ノームコア)=究極の普通」というのがファッションの世界で注目されてるんですが、ファッションとインテリアってすごくよく似ているから、これから多分、インテリアもノームコアを志向していく人が増えていくと思うんですよね。

ICがこれからすべきこととは

宝示戸そうした考え方を受けて、ICはこれからどう活動していけばいいと思われますか?

羽鳥さん群馬インテリアコーディネーターの特色というか良さというのは、男性会員が結構多いことです。でも全国的にいうと圧倒的に男性の数は少ない。インテリアコーディネーター=女性っていうイメージになってますよね。ますますライフスタイルが多様化しているなかで、ICの役割も当然のことながら、もっと多角的な視点でそれらに対応していかないとダメですよね。そういうこともあってもっと男性のICが増えてもいいのかなと思います。

成田さんこれからの日本社会は、ますます成熟化していくといわれていますが、よりよい暮らしの環境や居住空間を確保するためには、もっと男女が知恵を出し合っていかないといけないので、今のご発言はとっても大切なポイントだと思います。

今日はためになるお話をいろいろお聞きしました。ICがやるべきことは何かというと、個々の生活空間をいかに充実した自分らしいものにしていくかという、暮らし方の提案をしていくことに帰結しますね。それを相談する相手こそICだなと改めて思いました。皆さん、本日はどうもありがとうございました。

MEMBER PROFILE
関口 和美
羽鳥 義直 (はとり よしなお)有限会社 コテッヂデザイン 代表
軽井沢を愛し、自らの生活体験も交えながら、歴史・文化・伝統を踏まえた、土地選びから自然と触れ合う理想のライフスタイルの実現までをトータルにサポート。浅間の湧水が流れ、自然豊かな軽井沢の地に17年前に建てた山荘を拠点に、様々な活動を展開中。土地選び・建物・再生・インテリア・植栽・起業等に関わる相談グループ「軽井沢 フレンズ」を立ち上げ、自然や遺産をできる限りありのままで後世に繋げようと、古い山荘、民家、店舗のデザイン再生事業にも関わっている.。  ホームページ:http://www14.plala.or.jp/CottageDesign/
寺島 きぬ子
成田 真由美 (なりた まゆみ)+M space design studio (プラスエム スペース デザイン スタジオ)代表
ハウスメーカーや工務店での業務委託を経験したのち、外構ガーデン計画、リフォーム、インテリアなどの業務を行う事務所を設立。TV東京[TVチャンピオン 狭小住宅お部屋リフォーム王選手権]で優勝。商業施設デザイン、インテリアディスプレイ業務、住宅リフォーム講演、など行う傍ら、2008年~群馬日建工科専門学校にて非常勤講師として、週1~2日 学生とインテリアの勉強を行っている。  ホームページ:http://plus-msds.com/
歌川 えつこ
鳥越 美保子 (とりごえ みほこ)
群馬インテリアコーディネーター協会の会長。ハウスメーカーのインテリアコーディネーターを経て、香りで空間をコーディネートするアロマ空間デザインを学び、現在はインテリアとアロマを繋げる空間デザイン、家具デザインを中心に活動。空間の目的に合わせた香り提案と人、環境にやさしいコーディネートを目指している。
保田 孝
保田 孝 (やすだ たかし)アイ・プランニング代表
関西ペイント販売㈱インテリアアドバイザー。住宅メーカーで設計、デザイン部門に在職中に全国のモデルハウスの設計を統括。そのノウハウをもとにインテリアのビジネスシステム構築やインテリアコーディネーターの育成を経てアイ・プランニングを設立。以降ゼネコン、家具メーカー等の事業開拓支援、企業・学校の講師、執筆活動を行う一方、インテリアコーディネーターの支援活動を続けている。
早坂 広行
宝示戸 学 (ほうじと まなぶ)関西ペイント販売株式会社
北関東信越販売部・前橋営業所勤務。今年で14年目を迎え、現在は建築担当で営業活動中。趣味はキャンプ、野外料理など。今年の目標は最近流行りの一人キャンプを実行すること。広い空間で一人になってみたいと、構想を練っている。
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