PXI[ピクシィ]会議

PXI MEETING

ベテランの視点で考える新しい住まいのスタンダード

 インテリアコーディネーター(以降IC)の皆さんに、住まいのインテリアや塗装、塗料について、率直なご意見を伺うために始まった[PXI(ピクシィ)会議]。5回目は首都圏を中心に幅広く活動されているICの西堀トシコさん、江口惠津子さん、今泉なな子さんにお集まりいただき、当社専属アドバイザーである保田孝、建設塗料販売本部・前田学を交えて、日頃取り組んでおられる活動内容や今後、ICが目指すべき方向などを伺いました。

ICは“くらしのハッピープランナー”

保田氏今回お集まりいただいた皆さんは、全国のICが憧れと同時にライバル意識を持つ首都圏でご活躍の皆さんです。経験も実績も豊富なベテランの方々ですので、今後のICの活動に対してさまざまなご意見、お考えをお持ちだと思います。まずは皆さんの最近の活躍内容などをご紹介ください。

西堀さん最近意識しているのは「脱・塩ビクロス」です。もちろんお客様から要望があれば使いますが、自分から提案するときには「いろいろな内装仕上げの可能性がありますよ」とお伝えします。最近も、奥様の介護のために和室をリフォームする案件があったのですが、消臭(ニオイ)や調湿のことを考えて関西ペイントの漆喰塗料「アレスシックイ」を提案しました。また、年金暮らしのご夫婦にとっては、まとまったリフォーム代は大変です。そこで介護保険が使えるプランを検討し、役所とお客様、地域包括支援センターを行ったり来たりしながらプランニングを進めました。これからの時代、介護保険を使うための知識やアドバイス、手続きのお手伝いなども必要になると思いますね。

江口さん最近の案件は、お寺のリフォームです。茨城の由緒正しいお寺で、伝統工法の大工さんと一緒にバトルしながら、毎日が設計変更で大変でしたが勉強になりました。伝統の良さ、本物の自然素材の良さをすごく感じました。また、小淵沢でスキーヤー向けのレストランも手掛けました。夏場だけぐるりと回って川沿いのきれいな景色を愛でながら入っていく「夏の玄関」をつくり、すごく喜んでいただきました。お店のエントランスは大事ですし、玄関に入るまでの道のりをワクワク楽しみながら進めるのは大事だと思ったので。それから、もうひとつ。大宮駅から5分ぐらいの閑静な住宅街で、お庭も含めた提案をし、工事まで一緒にやりました。私たちICは、家の中のことばかりのように感じますが、「家庭」というのは「家」と「庭」と書き、庭はとても大事だと思っています。

今泉さん私は、先日ビジネスホテル改修工事で喫煙フロアの一部の天井を「アレスシックイ」で塗布・施工する提案をしました。施工後、ホテルのメンテナンス担当者から「施工した部屋としていない部屋のニオイが違う」とか「施工された部屋は宿泊者のタバコのニオイがあまり残っていなかった」というコメントをもらい、「アレスシックイ」の効果を改めて実感しました。
 また最近、同住宅メーカーの家が12棟並んでいるうちの1軒を購入されたクライアントから、インテリア(家具・照明・カーテン)提案をしてほしいという依頼を受けました。近隣はどれも同じような外観仕上げで、多分、内装も似通っていると思われます。クライアント宅の内装もほとんど真っ白で、無難といってもやはり味気ないため、クライアントの嗜好に合わせて素材や色を加え、快適で素敵なインテリア空間を提案して喜ばれました。やはり色は重要なポイントですね。

江口さん一般的に建築士は、白い箱で考えるイメージがありますからね。

今泉さん江口さんが庭の話をされていましたが、私もイギリス建築探訪旅の時にチェルシ―フラワーショーやウイリアム・モリスの最も美しい村といわれるバイブリ―村などを訪ねてからガーデニングに更に興味を持つようになりました。モリスの「家の中と外は一体の空間」という考え方に共感し、その後の私の仕事提案に加えています。江口さんのクライアントと共に作業して仕事を愉しむという同様なスタイルをお聞きして共鳴し、改めて私たちICの現在行っている仕事の姿勢は、今までのICの仕事定義を越えていると感じますね。

江口さんそうですね。インテリアという言葉に捉われないほうがいいですよね。

西堀さんコーディネートだけでもないし、総合プロデューサーとか?

江口さんお客様のライフスタイルに合わせて提案するのだから、ライフスタイルプランナーはどうでしょう?

今泉さんハッピープランナーっていいなって思いますが。

江口さんまず暮らしですから「くらしのハッピープランナー」は?

今泉さんいいですねぇ。そういう視点で考えていけると、夢も広がりますし、楽しくなりますね。

西堀さんこの仕事を始めてすぐの時に、先輩コーディネーターが「ICはディレクターであれ。プロデューサーであれ。ときにはアクトレスであれ」と言われたのが印象に残っています。プレゼンするときには女優や俳優のようにお客様に説明をし、プランをまとめる時には総合的な演出家でもあり、プロデューサーのように企画・情報発信もしなければいけないと。まだそんなに経験豊富な時期ではなかったけれど、ICはトータルな仕事なのだと妙に納得しました。それを心掛けてやってきて、改めて思い返してみてもやっぱりそうだなと思います。

住いもエコも日本の伝統文化に学ぶ

保田氏私も、ICの仕事は、幸せづくりのお手伝いだと思っています。人それぞれ幸せの価値観が違うから、我々がどれだけ「幸せのモデル」を知っているかというのが大事です。そのために我々ができることは何なのでしょうか。それから、庭の話が出ましたが、庭から家の中を見る。街からのアプローチのプロセスを楽しむ。こういった動的な楽しさということにもっと目を向けたいですね。

西堀さんオランダでオープンガーデンというイベントがあり、誰でもカナルハウスという17世紀の建物と庭を見ることができます。家の中で使うようなソファが庭にも置いてあったりして、家の中と外を繋げて楽しんでいる。でもこれ、日本人が本来得意とする「借景」という考え方にもつながり、日本人が忘れてしまってきているのではないかと改めて気付かされました。若い人たちにも伝統的な日本のものをもっとちゃんと伝えられるようにしなければと思い、和の素材について学んだりしています。昨日、今泉さんがJAFICA(*)のイベントでそういう関連のことをなさったのですよね。 (*JAFICA=ジャフィカ。日本フリーランスインテリアコーディネーター協会)

今泉さん2015年度より<日本の伝統文化を皆でもっと知ろうよ!>という趣旨で、ジャパ研(日本文化に興味のあるメンバー同好会)という分科会を立ち上げ、2回目のイベントで「日本の色再考!」というテーマで、プレゼンターをやりました。日本の文化、日本の良さを教えてくれる人が少なくなった昨今、メンバーと共に学びながら、日本ならではの素敵な文化を楽しむ会となるように願っています。

保田氏昔の住まいには、日本の行事や節句、またそれに伴う作法が一体になっていましたね。最近の住宅は、和室といっても単なる畳の部屋。和室のない家も多いです。日本の暮らしの文化を継承していく上で失くしてはいけないものもあります。

今泉さんそうですね。日本住宅の良さも残し、伝えていきたいですね。そして和室がなくても和の心、日本の伝統的な良さを伝える方法を考え、提案するのもICの役割と思っています。

西堀さんそういえば30代の頃、アメリカに住んでいた友人の所に行って、着物の帯をテーブルセンターにしていたのを見て、こういう和の使い方もあるのだなと驚きました。

江口さん日本の文化は、究極のエコだと思うので、プラスαでエコのこともお話させてください。日本の伝統文化には素晴らしいことがたくさんありました。でもいまの住宅は気密性重視で個人を守るものになり、家庭が最もエコできていない場所になっています。2年前に環境省で「うちエコ診断士」という資格がつくられ、JAFICAでも「うちエコ研究会」を立ち上げました。会員の中には資格保有者が7人います。ICとしてデザインもすてき、且つエコだよという提案ができるようにしたい。今、まさにそれがお客様に求められているのではないでしょうか?

保田氏そうです。そういう知恵が必要ですよね。

江口さんインテリアを形成しているものにはすべてに固有の波長があります。色も光もテクスチャーも全部。そういう波長がうまく合った空間が日本住宅のすばらしいところで、例えば、古民家の柱からは懐かしい波長が出ています。美しいだけの住まいの時代は終わっています。装飾性と機能性は相反するものではなく、一緒でなければいけません。人は「生きているのではなく、生かされている」とよくいわれますが、地球環境に貢献しながら、美しくて居心地がいい調和のとれた住まいが提案できればいいですね。

保田氏江口さんがおっしゃった「生かされている」という言葉が印象的でした。あるものを上手に使う、これはエコにも繋がる。それから「活かす」ということ。例えば親が亡くなって着物をいっぱい残していた。これを古着屋に渡す前に自分がどう活かすかという知恵も必要でしょう。

今泉さん私は昨今リフォームの仕事で団塊世代のクライアントが多くなりましたが、高齢の方になるほど家にはモノが溢れています。物は人の思い出。しかし、物に占領されて人も呼べずに寂しく暮らすのでは無意味ですよね。私の仕事は、まず物の整理のアドバイスから始まり、最終的には快適な住まいに仕上げ、リフォームして皆が集まる家になって幸せな笑顔を作ること。人にとって晩年をどのように過ごせるかがとても大事なことだと思います。

江口さん私たちって、その人の人生とか人格、人徳、お金の使い方にまで向き合う仕事をしていますね。

「活かす」リフォーム、「減らす」リフォーム

保田氏「活かす」というキーワードともうひとつ、「減らす」もあると思いますが、物理的にもビジュアル的にもなるべく見えなくするとか、減らしていくこと。それも和の文化のひとつだと思いますがいかがでしょう。

西堀さん日本はまだまだ住まいのダウンサイジングには慣れていませんが、最近は「減築」という考え方も知られてきて、老後の住まいをコンパクト化していく提案が増えてきています。子育て期は広いスペースが必要ですが、子どもたちが独立すれば小さくしても十分暮らせます。歳をとっていくとモノが溢れてきますから、整理してスペースの使い方を見直せば自分たちも心地よく過ごせて、孫も訪ねてきてくれる。こういう生活の仕方がありますよ、と私たちICが気付かせてあげられればいいですね。

江口さん以前リフォームしたお客様で2階にあった3部屋を1つ減らして1階のリビングの天井を吹き抜けにする工事をしました。明るくなる、魅せる渡り廊下ができるなど、リフォームは楽しい可能性があります。南の部屋の南にまた増築して部屋をダメにして しまうようなことをやってきた時代がありました。そういうことをもう一度見直すというのが今の私たちの仕事。且つ、住みやすく、健康で、みんなが集まれる場所をつくるのは、私たちに与えられた使命かなとも思います。

前田「減築」の話で、床を取り払って吹き抜けを作るというのはとってもいいですね。明るくするリフォームは、魅力を感じます。

江口さん「活かす」という話も、もともとあった家の良いものを活かしながら、生活をより豊かにすることができるのがリフォームだと私は思っています。

西堀さん「人が集う」ということは、今までは家族単位で考えられていましたが、高齢になり一人暮らしになっても、同じ地域でずっと暮らしていけるよう、人が集まりやすい場所を作ってあげることで、みんなが集まって支え合える。地域ぐるみの楽しい生活ができると思います。

江口さんみんなが集まる場所といえば、土間のような考え方が私はいいと思います。それから縁側。ご縁のある場所だから「縁側」。みんなが自然に来て、子どもの話などをする。そうすることで救われる人がたくさんいる。

西堀さん日本は超高齢化の社会で、なおかつ少子で…と、課題はいっぱいです! その中でも、楽しく生き生きと暮らしてもらいたい。元気な老人は大勢います。ひとりで解決できなくても、サロンのようなスタイルをとり入れることで、みんなが集まり、手を携え、楽しく暮らせるようになるのではないでしょうか?

保田氏今日のお話に結論を出すのはなかなか難しいですが、会話を振り返ると、長年インテリアの実務に携わってきた私たちは、若い実務者に任せるところは大胆に任せて、私たちにしかできない仕事をやる。それが私たちの一歩先を行っている高齢者の幸せづくりになるということではないでしょうか。本日はありがとうございました。

MEMBER PROFILE
西堀 トシコ
西堀 トシコ (にしぼり としこ)いきいきプラン21 代表
小田急ハルク(小田急百貨店)のインテリアコーディネーター、東京都住宅改修アドバイザーなどを経て、二級建築士事務所「いきいきプラン21」を設立。業界歴25年以上の経験をもとに、使いやすく身体に優しい空間づくりをモットーとしている。JAFICAでは「五感インテリア研究会」を立ち上げ、五感を使って「住まいや暮らしを豊かに、幸せにしていくこと」を追求。BSジャパン「ヒデキの感激!NEXTハウス」2回、「バリューハウス」3回等、メディア出演も多数。インテリアコーディネーター、二級建築士、福祉住環境コーディネーター2級、商業施設士。JAFICA会員(2015年度・理事)
江口 惠津子
江口 惠津子(えぐち えつこ)株式会社ヴェルディッシモ 代表
主婦時代を経てインテリア・リフォーム業界へ、そして起業。TVチャンピオン、 「大改造!!劇的ビフォーアフター」をはじめ、リフォームに関する雑誌・新聞などへの登場多数。これまで手がけた大型物件は100以上。 主婦、母、そしてインテリアのプロという幅広い視点から、お客様の生活スタイルを大切にした提案を信条に活躍。 エネルギーの源は自転車ロードバイクでの疾走。二級建築士、インテリアコーディネーター、照明コンサルタント、うちエコ診断士。窓装飾プランナー。JAFICA会員(2014年度より会長)  ホームページ:http://www.verdissimo.jp/
今泉 なな子
今泉 なな子(いまいずみ ななこ)株式会社セプト 取締役チーフデザイナー
TVチャンピオン「インテリアコーディネート王選手権」初代チャンピオン。 以来、テレビ、雑誌など幅広いメディアでも活躍中。 JAFICA始めインテリア関連団体の理事も歴任するなど、 インテリア業界を支えつつリードしてきたトップICの一人。プライベートも、愛犬、絵画、手芸、茶道、ゴルフなど幅広いジャンルにエネルギッシュ。インテリアコーディネーター、キッチンスペシャリスト、商業施設士、施工管理技士。JAFICA相談役 ホームページ:http://www.sept.co.jp/
保田 孝
保田 孝 (やすだ たかし)アイ・プランニング代表
関西ペイント販売㈱インテリアアドバイザー。住宅メーカーで設計、デザイン部門に在職中に全国のモデルハウスの設計を統括。そのノウハウをもとにインテリアのビジネスシステム構築やインテリアコーディネーターの育成を経てアイ・プランニングを設立。以降ゼネコン、家具メーカー等の事業開拓支援、企業・学校の講師、執筆活動を行う一方、インテリアコーディネーターの支援活動を続けている。
前田 学
前田 学(前田 まなぶ)関西ペイント販売株式会社
建築塗料販売本部・営業部勤務。行った事がないどこかへ出かけるのが好きで、国内では南伊豆、小笠原諸島、海外では羽田発格安ツアーで台湾、マレーシア、シンガポール、ベトナムあたりへ行きたい。食べること、作ることが好き。気が向いたら冷蔵庫にあるもので、自分が食べたいものを作って食べる。息子たちにはそこそこ人気だが、娘には×・・・。お値打ちのメガ盛り、生魚が大好物なビール党。来年は南伊豆でシュノーケリング、札幌でカーリングを試してみたい。50歳で大型バイクを所有、定年後はスポーツカーかオープンカーを所有することが夢。
※内容に関して問合せや感想などありましたら、PXIサイト「お問合せ」をご利用ください。

What's PXI

PXI MTG

CASE STUDY

HOW TO

COLUMN

Q & A

EVENT