PXI[ピクシィ]会議

PXI MEETING

地方力で生み出す新たな可能性

 インテリアコーディネーター(以降IC)の皆さんに、住まいのインテリアや塗装、塗料について、率直なご意見を伺うために始まった[PXI(ピクシィ)会議]。6回目は福岡を拠点に幅広く活動されているICの入江明美さん、寒竹美佐子さん、吉高由香さんにお集まりいただき、当社専属アドバイザーである保田孝、九州販売本部・前田美奈子を交えて、日頃取り組んでおられる活動内容や今後、ICが目指すべき方向などを伺いました。

全国トップ規模の福岡IC協会

保田氏先ずは福岡でご活躍の皆さんに日頃の活動内容や最近のできごとなどからをご紹介いただけますか。

入江さん私はフリーのインテリアコーディネーターをしています。主な仕事の依頼はハウジングメーカーやビルダー、設計事務所からですが、施主様との最初の打合せからカーテンや家具の搬入まで行います。内容はケースバイケースですが、マンション、戸建てが9割ぐらいです。最近は、大分や佐賀など遠方の仕事も増えていて、お仕事の受け方を今後どのようにしていこうかなと少し考えているところです。

寒竹さんフリーランスになって15年目になります。ご依頼があれば、ICの肩書きでできることは何でもするというスタンスで続けてきました。戸建てやマンションのモデルルームのお仕事をメインに、オフィスや店舗のトータルプランニングの依頼もいただきます。お請けする仕事のバリエーションを広げることで、いろいろな材料を使ったり、アイデアを試せたりするので、できるものは一通りお受けしています。いろいろなお仲間と一緒に工事を請け負うため、そのご縁から山口や鹿児島までお仕事の現場が広がっています。

吉高さん私は最初、公共事業のコンサルタントをやっていて、そこから建築士の資格を取り、独立して今年で18年目になります。会社にしてからは10期目です。お二人と同じような業務ですが、個人からも依頼を受けたりします。年間の割合としては、マンションのモデルルームが結構多いですが、マンションを買われた方にインテリアを販売したり、商業施設やテナントの設計もしています。最近は、撮影のスタイリングというインテリアのお仕事も増えていて、「何屋さん」なのかよくわからなくなってきています。仕事のエリアとしては、九州全域と山口ぐらいまで常に動いています。去年は、東京・大阪・名古屋にもそれぞれ仕事で行きました。

保田氏お三人は、福岡IC協会に所属されていますが、最近はどのような協会活動をなさっていますか?

寒竹さんICの認知度は一般の方にそこそこあるんですが、「何をしているのか分からない」「どこに頼めばいいかわからない」と言われることがあるので、「コーディネーターってこんな仕事をしていますよ」とか「こんな知識がありますよ」「こんなお手伝いができますよ」ということを発信するようにしています。それと、会員のスキルアップ。求められるものをいかに提供できるかを検討しながら協会活動を進めています。

保田氏一般のお客様にICの仕事をどういうカタチで伝えられているのでしょうか?

寒竹さん例えば、インテリアを楽しんでもらうため、お子様を対象としたイス作りのイベントや「こんな部屋あったらいいな絵画コンテスト」を催したり、コーディネーターになりたいという学生さんたちにプレゼンボードを作ってもらう体験イベントをしたり…。

入江さん「こんな部屋あったらいいなコンテスト」では、自分の部屋や住みたい家を絵に描いてもらいました。市の教育委員会にお願いして、学校の夏休みや冬休みの宿題の一環にしてもらったのです。いろいろな賞を用意して、一番いい賞を取った人の作品を実寸大の部屋に再現してイベント会場で多くの方々に見ていただきました。また建材メーカー主催のイベントにブースを置かせてもらい「インテリアコーディネーターが相談に乗りますよ」「こういう協会がありますよ」というアピールも行っています。

保田氏協会のホームページを拝見すると、いろいろなジャンルに分けてセミナーも開催されていますね。具体的にはどのような内容でされているのでしょうか?

寒竹さん福岡IC協会は会員数が150名ぐらいで、全国有数の規模になります。それだけの方がいらっしゃると、聞きたい情報やスキルアップしたい内容にすごく幅があります。そこで「スキルアップ」というたまごちゃんチームと、企業やメーカーにお勤めのコーディネーターチーム、経営やフリーランスの人たちの事業活動チームに分け、チームごとに関心のあるテーマを設定しています。

保田氏ICが勉強会を実施したり、企業の力も借りながらいろんな情報を発信していくことは大切だと思います。

入江さんJAPANTEXに参加して各県のIC協会と接点を持ち、盛り上げていきましょうと、数年前から活動もしています。

環境、気候、風土から生まれる地域色

前田皆さんは福岡にとどまらず、広いエリアで活動されていますが、その中で地域性について何か感じられたことはありますか?

寒竹さん他県の方と情報交換すると、仕事の内容が少しずつ各県で違うなと思います。

吉高さん東京はすごく分業しているなと驚きました。地方に行けば行くほど、トータルに関わらないとできないとお仕事にならないですから。

寒竹さん東京は仕事量も多いからインテリアの一部分に特化した仕事をされている人もいますよね。

吉高さん福岡や地方だと、自分が入ろうと思えばどこまでも入っていける面白さはあるなと思います。

保田氏地方のコーディネーターはたくましいですね。ではもっと建築的な側面から、地域的な特色はありませんか? 日本海側独特の気候風土や最近問題のPM2.5の問題などは意識されていますか?

寒竹さん澄んだ空が少なくなってきたな、とは感じています。

吉高さん20年前とは空が全然違うのはわかりますが、住宅業界でそれが話題になることは少ないと思います。

入江さん鹿児島はあれだけ灰が降るのに、バルコニーがないマンションは売れないです。インナーテラスのご要望もそんなにないですし、やっぱりバルコニーは絶対のようです。県民性なのかもしれないけれど「仕方ないよね」で終っていて、あまり困っていないですね。

保田氏私はPM2.5がいずれ全国的な問題になると思っています。例えば、住宅の結露の問題です。窓周りの結露を減らすためにむき出しのアルミサッシから樹脂を被覆した樹脂サッシが寒冷地域で普及して、その影響を受けて徐々に南へ広がって採用されてきた。そういうことを考えると、PM2.5に対して新たな九州仕様が生まれて東日本へ展開していくようなものがあるのではないか、そういう期待もしています。

寒竹さんもしかしたらこの地域のお客様の中には、フィルターが欲しいとか汚れた空気が入らないようにしたいとか、東京以上に関心をお持ちなのかもしれないですね。

保田氏ところで地域には、それぞれ固有の色彩傾向が見られます。地域住人にとっては意識していなくても、他の地域から見ると突出して感じられる場合もあります。あえて皆さんの眼で、九州または福岡の地方色があるとしたらご紹介ください。

吉高さん福岡は日本海側で曇りも多いので、グレイッシュな色が好まれます。それは恐らく東北の方も一緒です。私はカラーの学校で地域色をすごく教えられたので、常に意識しています。すべての地域で光が違うから、綺麗に見える色も違うのです。沖縄の土産物の包み紙は赤、黄、オレンジで、北海道では青紫ですよね。その色が綺麗に見えるので、その地域の人はその色を好んで使う。東京で売れる洋服の色と福岡で売れる色は違います。そこをちゃんと計算して、外観をグレイッシュにしたり、ファブリックや花、絵画の色なども地域の色に合わせるようにしています。

前田九州というくくりの中でも違いはありますか?

吉高さん全国的に見て、北海道と東北、関東、関西、日本海側、九州、沖縄というような大きなくくりと同じで、明確な県ごとの区別というのはないです。「九州のこっち側」というくくりで福岡と熊本は同じ、長崎はなぜか青系が好きで、鹿児島はオレンジの花が多いように感じます。

寒竹さん瓦の色でも昔から土地、土地で違っているし、幅がありますよね。山口へ行くと、昔の伝統を重んじるところはオレンジの瓦が多いです。いまだに若い方が、プロバンス風のオレンジの瓦にしたいと言われたりします。こちらへ戻ってくると、もうちょっと落ち着いた色になります。昔からの土地柄の色みたいなものはありますね。受け継がれている材料にも各々の土地ごとに好みや馴染みの色などがあるのだと思います。

入江さん瓦文化は田舎の方に行けばまだ少し残っていますね。瓦が載っている=家の格が違うという意識はまだ残っています。若い方がお家を建てられる場合、資金的にお父様お母様の援助をいただくことが多いので、瓦のお話が出たりします。

寒竹さん自分もそうだったことを考えれば、小さい頃に色や美術的なことを日本人はあまり多くは習っていない気がします。上手な色使いとか、これからの子どもたちには身につけてほしいですね。海外では自分たちでリフォームしたりするから上手にできるのだろうと思います。日本は室内でも「無難に白で!」というのが多いですよね。ずいぶんカラフルになってはきましたが…。

もっと価値ある住まいづくりのために

保田氏新築住宅の内装はどうしても標準仕様が決まっていて、壁紙などに押されていますが、塗装をしたいというニーズはありますか? もしくは出てくるでしょうか?

寒竹さんお客様の要望を聞く前に、工務店の標準仕様みたいなものがいつも普通にあって「壁紙」でと指示があるので、「それが普通なのね」とお客様も思ってしまわれる。そこが変わらないと、なかなか「壁を塗装で」という発想が生まれないですね。

入江さん私は、需要は多いと思います。内装仕上げ仕様が限定されている場合は難しいですが、「こうしたい」という思いの強いお客様なら「塗装という方法もありますよ?」と提案する場合もあります。コストは多少アップしますが、標準仕様はあくまで仕様選択のスタートラインで、他にも選択肢がいろいろあることをわかっていただければ、標準仕様のしばりが抜けて、皆が満足できる結果につながるのではないかと思います。

保田氏「家」というのは、住んでみないとわからない、建ててみないとわからない。そういったところに、前もってその価値を知っていただくのはとても難しいことです。けれども、せっかく建てるのであれば「こうしてはどうですか?」とアドバイスする。コーディネーターとして、どうきっかけをつくるか、というところで皆さんご苦労なさっていると思います。

寒竹さんお客様のしたいこと、思いや言葉をきちんと的確に、注意して聞いてさしあげる。それを組み合わせたらこんな感じになりますよと紐解いてあげて、できるだけお客様のご要望に合ったものをつくっていく。そういうことができるICのお仕事に生き甲斐を感じています。

吉高さん内装の色から外壁まで、すべてに関わった物件ができ上がったときは、毎回ちょっとした達成感がありますね。私より間違いなく長生きして、長く残ると思うととてもうれしいです。

保田氏私たち塗料メーカーは、もっともっとICの方に塗装された空間の快適性と美観性を再認識していただき、良い事例をたくさんつくっていただきたいと思っています。そのためには塗装ならではの良さを知っていただくための最新情報の発信と、スキルズの向上に役立つセミナーやワークショップを今後も展開してまいります。
 本日、同席させていただいた前田美奈子が、九州地域の担当者としてデビューしました。これからいろいろと塗装・塗料のことについて問い合わせいただきたいですし、いろいろと教えてもいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。 本日はありがとうございました。

MEMBER PROFILE
入江 明美
入江 明美 (いりえ あけみ)inlet(インレット) 代表
電機メーカーの事務職を経て建築業界へ。施主様の思いやライフスタイルを重視した、より快適で豊かな住空間づくりや、オーナー様のイメージと計画をしっかり反映させた、記憶に残る商業スペースの創造を信条に、多彩な物件を幅広くトータルにコーディネートする。インテリアコーディネーター、二級建築士、福祉住環境コーディネーター2級、照明士、福岡インテリアコーディネーター協会 理事
寒竹 美佐子
寒竹 美佐子 (かんたけ みさこ)インテリアデザインオフィス ゼフィア 代表
金融系の営業職から、照明メーカー勤務を経てフリーのインテリアコーディネーターへ。分譲マンションや戸建モデルハウスのトータルプロデュースや個々のご要望にも的確に対応。店舗・オフィス・ホテル等のトータルプロデュース、インテリアデザインに関連する各種イベントセミナー講演・スクール講師としても活躍中。インテリアコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、AFT色彩検定1級コーディネーター、東商1級環境色彩コーディネーター、照明コンサルタント、福岡インテリアコーディネーター協会 事務局長
吉高 由香
吉高 由香 (よしたか ゆうか)(株)ワイズマーク 代表
建設コンサルタント勤務時代、公共事業・再開発・都市計画に携わる。建築士の資格を取り、1998年に独立。建築の知識を生かしながら住居や商業施設におけるインテリア空間設計、 インテリアの企画・デザイン、開発、販売などの事業を展開。九州のみならず関東、関西での仕事も手掛け、広告撮影のスタイリストとしても活動中。 その他、大学での非常勤講師を務めるなど、後身の育成にも力を注いでいる。インテリアコーディネーター、二級建築士、カラーコンサルタント、カフェ雑貨クリエイター、九州産業大学工学部・非常勤講師
保田 孝
保田 孝 (やすだ たかし)アイ・プランニング代表
関西ペイント販売㈱インテリアアドバイザー。住宅メーカーで設計、デザイン部門に在職中に全国のモデルハウスの設計を統括。そのノウハウをもとにインテリアのビジネスシステム構築やインテリアコーディネーターの育成を経てアイ・プランニングを設立。以降ゼネコン、家具メーカー等の事業開拓支援、企業・学校の講師、執筆活動を行う一方、インテリアコーディネーターの支援活動を続けている。
前田 美奈子
前田 美奈子(まえだ みなこ)関西ペイント販売株式会社
九州販売部・福岡営業所勤務。福岡勤務12年。昨年より営業配属となり主に福岡地区で活動している営業一年生。今回、PXIに携わることになり、インテリアへの興味が芽生え、休日は雑貨屋さん巡りが日課に。趣味は旅行で、国内外問わず旅先の美術館や博物館などを巡るのが楽しみのひとつ。いつか行ってみたいところ「アメリカのスミソニアン博物館」。
※内容に関して問合せや感想などありましたら、PXIサイト「お問合せ」をご利用ください。

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